村田裕之の団塊・シニアビジネス・シニア市場・高齢社会の未来が学べるブログ

団塊・シニアビジネスのパイオニアで高齢社会問題の国際的オピニオンリーダー、村田裕之が注目の商品・サービス、シニア市場トレンド、海外シニアマーケット動向を独自の切り口で解説。ビジネスの視点、教訓・学び、生活のヒントをお伝えします。

「PLAN75」の記事一覧

超々高齢社会と忘れてはならないこと

2030年までにアフリカと中東諸国を除く、世界の大半の国が「高齢化社会」に突入する。ますます混沌とする世界情勢のなかで、予測できる「確実な構造的変化」は、人口動態のシニアシフトなのだ。にもかかわらず、私たちはこの「確実な構造的変化」が進行していることを忘れがちだ。映画「PLAN75」が示唆したのは「社会の高齢化は止まらないことを忘れるな。思考停止に陥るな」という警鐘だ。

超々高齢社会と世界中で進むシニアシフト

実は2030年までにアフリカと中東諸国を除く、世界の大半の国が「高齢化社会」に突入します。ますます混沌とする世界情勢のなかで、予測できる確実な構造的変化は「人口動態のシニアシフト」なのです。にもかかわらず、私たちはこの「確実な構造的変化」が進行していることを忘れがちです。以前ご紹介した映画「PLAN75」は、「社会の高齢化は止まらない、思考停止に陥るな」という警鐘です。「高齢化社会」に突入する国にはロシアや北朝鮮も含まれています。彼らが戦うべきはウクライナやアメリカではなく、社会の高齢化です。戦争をやっている暇はないのです。

映画「PLAN75」と日本の近未来

この映画は「PLAN75」という架空の制度が導入された近未来社会を描いています。ところが、高齢を理由に職場から解雇される場面や、一人暮らしの高齢女性の友人が孤独死をする場面など、制度以外に描かれているシーンのほとんどが、近未来でなく既に今日現実に起きていることばかりです。これが、この映画が単なる近未来のフィクションのように感じられず、描かれている世界が現実感をもって迫ってくる大きな理由です。よい映画というのは、いろいろな解釈が可能な「複線的なメッセージ性」をもっています。そして、見る人間の立場や見るタイミングによって、豊かな想像を掻き立ててくれる力があります。この映画もそうした力をもつ映画だと思います。

いくつになっても仕事ができることの重要性

今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門のスペシャルメンション(次点)に選ばれた早川千絵監督による「PLAN75」で問題提起されたように、超高齢社会では割合の多い高齢者を割合の少ない現役が支えることになり、それが厳しくなるため何らかの方策が必要となります。そのなかでも重要なのは、いくつになっても働く意思がある人には何らかの形で働く機会があることでしょう。この意味においてシルバー人材センターの役割は今後ますます重要になると思います。