2023年2月17日 ちょっと一息
昨年のカンヌ国際映画祭で特別表彰された映画「PLAN75」については、私の寄稿、講演等で何度もお話ししてきました。
講演等で「皆さんはこの映画をご覧になりましたか?」と尋ねると、「観た」と答える人はおよそ10人に一人。カンヌ国際映画祭で特別表彰された話題作ではあったものの、上映された映画館もそれほど多くなく、上映期間も短めだったことが理由のようです。
超々高齢社会・日本の近未来を考えるのに必見の映画です。
劇場の大画面で観た方がリアルな感覚が伝わってきますが、じっくりと内容を確認しながら観るにはAmazon Primeはよいかもしれません.
まだご覧になっていない方には強くお勧めします。
Amazon Prime Videoでの視聴はこちらから
この映画は「PLAN75」という架空の制度が導入された近未来社会を描いています。ところが、高齢を理由に職場から解雇される場面や、一人暮らしの高齢女性の友人が孤独死をする場面など、制度以外に描かれているシーンのほとんどが、近未来でなく既に今日現実に起きていることばかりです。これが、この映画が単なる近未来のフィクションのように感じられず、描かれている世界が現実感をもって迫ってくる大きな理由です。よい映画というのは、いろいろな解釈が可能な「複線的なメッセージ性」をもっています。そして、見る人間の立場や見るタイミングによって、豊かな想像を掻き立ててくれる力があります。この映画もそうした力をもつ映画だと思います。