スマートシニア・ビジネスレビュー 2024年6月19日 Vol.244
私が所属する東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターと株式会社カーブスジャパンは、6月18日に「タンパク質の網羅解析によってサーキットトレーニングが認知機能、腸内細菌、心理指標に 与える影響に関するメカニズムを包括的に解明する研究」を開始すると発表しました。
本研究の背景と目的
これまでの研究により、習慣的な運動が認知機能(脳の健康)、腸内細菌(腸の健康)、メンタルヘルス(心の健康)に有益な影響を与えることが示されていますが、そのメカニズムは未だ明らかになっていません。
これら3つの健康には、血中タンパク質解析によって判明する因子(炎症、免疫、加齢制御因子)が関与していると推測されます。
そこで、本研究では約千種類にわたるタンパク質の解析により、サーキットトレーニングの有益な効果を支持するメカニズムを明らかにする研究を行います。
また、腸と脳には強い結びつき(腸脳相関)があると言われています。本研究では、運動によって変化する腸内細菌が認知機能に与える影響についても明らかにします。
運動、タンパク質、腸内細菌、認知機能、心理指標といった包括的な指標から、それぞれの関連を明らかにすることで、加齢に伴う認知機能低下の抑制につながる関係性を明らかにします。
これまでの東北大学とカーブスジャパンとの共同研究
東北大学と株式会社カーブスジャパンは、これまでの共同研究において、サーキットトレーニングが認知機能の一種である「実行機能」や「記憶機能」を向上することを明らかにしています。
東北大学とカーブスジャパンとの共同研究で4週間のサーキット運動トレーニングが、実行機能、エピソード記憶、処理速度など広範囲な認知機能を改善することが明らかになりました。
今回の研究成果が示しているのは、過剰な自粛で運動不足になって精神的ストレスを溜めるより、きちんとした感染予防策を講じている場所で科学的に効果検証された運動を行うことの有用性だ。
自社の運動プログラムに関する科学的エビデンスの豊富さは他に例がない
また、東北大学以外の様々な研究機関との共同研究により、生活習慣病の予防(血圧・血糖値の低下傾向)、体脂肪量の減少、筋力増加、2型糖尿病の予防効果、身体活動量の増加、心肺機能の向上、疼痛改善による日常生活機能の向上といった様々な効果が学術的に検証されています。
日本のフィットネスジム運営会社が、自社の運動プログラムに関する科学的エビデンスを、これだけ多岐に渡り保有するのは他に例がありません。
本研究では、神経成長因子、炎症、免疫、加齢制御因子といった数千種類のタンパク質解析を新たに取り入れることで、サーキットトレーニングの効果を裏付けるメカニズムの究明に迫ります。
さらに、腸内細菌、認知機能、心理指標を加えて、包括的な観点からサーキットトレーニングの効果について検証していきます。
【本学研究者情報】 〇スマート・エイジング学際重点研究センター センター長・瀧靖之 助教・曽我啓史研究室ウェブサイト 【発表のポイント】 先行研究により、習慣的な運動が認知機能(脳の健康)、腸内細菌(...