これからのシニア事業に必要な人材は「エイジング・サイエンティスト」

スマートシニア・ビジネスレビュー 2018年4月9日 Vol.224

先週東北大学広報課よりリリースされたとおり、4月11日より東北大学スマート・エイジング・カレッジ東京第4期が開講します。

第4期の力点は、加齢科学を理解しながら営利事業も構築できるシニア向け事業専門家「エイジング・サイエンティスト」の養成です。

多くの企業では拡大するシニア向け健康支援市場に対応するために、エビデンスに基づく科学的アプローチで事業が構築できる人材が求められています。

例えば、今月改定の公的介護保険制度では認知症ケアなどに対してエビデンスに基づく科学的介護の方向性が示されています。

しかし、これを実現するには、認知症のメカニズムに関わる脳科学、認知神経科学、心理学、疫学などの広範囲な知識と現場への応用力が求められます。

ところが、介護事業者では、そうした広範囲な知識を持ち、現場に応用できる人材は非常に少ないのが現状です。

一方、小売業やメーカーなどでは、シニアのより詳細な消費行動を把握するためには、従来のアンケート調査では不十分なことが調査現場レベルで認識されています。

これに代わって、超小型NIRSなどの脳活動計測装置で消費行動を司る前頭葉の活動を直接計測することで従来型アンケート調査では得られない高度な情報が得られることがわかっています。

しかし、このような場合にも脳科学、認知神経科学、心理学、経済学などの知見が不可欠ですが、小売業やメーカーなどでこうした広範囲の知識を持って脳科学計測ができる人材はほとんどいません。

東北大学は国内で唯一加齢科学(エイジング・サイエンス)を標榜しており、脳科学研究やゲノム医療研究をはじめ最先端の加齢科学の知見を豊富に有しています。

こうした知見を、スマート・エイジング学際重点研究センターが運営する「スマート・エイジング・カレッジ東京」を通じて企業担当者に提供し、加齢科学を理解しながら営利事業も構築できるシニア向け事業専門家「エイジング・サイエンティスト」の養成を図るものです。

第4期は各業界の錚々たる企業60社(4月4日現在)にご参加を頂いてのスタートとなります。名だたる大手企業はもちろん、業界の先端を走る中堅、ベンチャー企業の皆さんにもご参加いただき、本当に多士多彩なメンバーが揃ったという感じです。

今回縁あってご一緒する皆様と有意義な時間を共にできることに感謝し、高齢先進国・日本ならではスマート・エイジング・ビジネスが生まれる事業開発のプラットフォームを目指していきたいと思います。

東北大学プレスリリース
東北大学スマート・エイジング・カレッジ東京第4期開講