認知課題中の前頭葉の活動状況を光トポグラフィ装置でモニターしたもの

2024年5月31日 第24回日本抗加齢医学会総会

毎日栄養バランスの取れた朝食を摂っている人は「幸せ度」が高い

熊本城ホールでの日本抗加齢医学会総会で、昨年に引き続きお話しすることになりました。

私は、牛丼チェーン大手の吉野家、東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー NeU(ニュー)と共同で、朝食習慣とその質がウェルビーイングにどう影響するかを研究しています。

三者は、20代から60代の働く人1,000人を対象に「朝食習慣と幸せ度・ライフスタイルに関する調査」を行い、その結果を昨年公表しています。

また、吉野家で実施している「朝食を摂ると200円割引キャンペーン」は、この研究に連携した活動です。

朝食の「質の違い」によるウェルビーングへの影響を生体計測で調査

この調査結果を踏まえて、20代から50代までの男性54人を対象に、朝食の「質の違い」によるウェルビーングへの影響を生体計測により調べました。

具体的には試験食群(吉野家で販売中の和定食3種類)と対象食群(菓子パン食3種類)の2群に分け、全8週間に渡る非盲検化ランダム化クロスオーバー試験を実施しました。

被験者に摂食介入前後に認知課題を実施してもらい、課題実施中に超小型近赤外線分光装置(NIRS)による脳活動の計測、試験中に心電計による自律神経活動の計測を実施しました。

NIRSによる認知機能試験時の脳活動計測風景
NIRSによる認知機能試験時の脳活動計測風景

栄養バランスの取れた「和朝食習慣」がウェルビーイング向上に最も有用

試験食群は、対象食群に比べ、集中力や作動記憶を必要とする認知課題実施時に、記憶や認知、意欲、判断を司る脳の「背外側前頭前野」の血流量がより高まり、脳活動が活性化することが確認できています。

また、自律神経活動においても試験食群で交感神経が優位傾向になることが確認できています。

本セミナーでは、上記最新結果報告を含み、ウェルビーイング維持・向上のために栄養バランスの取れた「和朝食習慣」が最も有用であることを多角的にお話しする予定です。

なお、本クロスオーバー試験の詳細は、私の講演に先立ち、第78回日本栄養食糧学会大会において吉野家さんから発表される予定です。ご興味のある方はそちらにご参加ください。