現代における朝食の価値

2023年6月9日 第23回日本抗加齢医学会総会

毎日栄養バランスの取れた朝食を摂っている人は「幸せ度」が高い

東京国際フォーラムでの日本抗加齢医学会総会のランチョンセミナーでお話しすることになりました。

東北大学スマート・エイジング学際研究センターでは脳の働きを活性化する朝食の機能に着目し、「朝食習慣」と「幸せ度」や「生活の満足度」との関係性を研究してきました。

2010年に実施した20代から60代のビジネスパーソン1000人を対象とした調査によれば、毎日栄養バランスの取れた朝食を摂っている人は「幸せ度」や「生活の満足度」が高いことがわかっています。

スマホ使用時間が長いと朝食習慣へ影響する コロナ禍がそれを助長する

2022年牛丼チェーンの吉野家、東北大学ナレッジキャスト、および東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー NeU(ニュー)は、コロナ禍による影響、スマホ普及による影響についての設問を追加して同様の調査を実施したところ、2010年調査と同様の傾向が見られました。

この調査では、コロナ禍以降のライフスタイルの変化、およびスマホ使用時間による朝食習慣への影響も明確に見られました。幸せ度を判断する時に重視することにも変化が見られ、「時代性の変化」が朝食習慣に影響を及ぼすことを見出しています。

朝食の質が脳活動に影響する ご飯だけ、パンだけの朝食は不十分

お米を中心とした栄養バランスのよい「和食」が脳活動を活性化させ、「幸せ度」や「生活の満足度」を向上させるという東北大学の知見に基づき、「和定食(吉野家が商業サービス中)」と「菓子パン食」の2群で朝食摂取前後の脳活動と認知機能の変化を予備試験的に計測したところ、和定食群の方がどちらも向上させるという結果を得ています。

近年頻繁に使われる「ウェルビーイング」(well-being)という言葉は、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されます。私たちが以前から注目してきた「幸せ度」や「生活の満足度」は、まさに「ウェルビーイング」の尺度です。

本セミナーでは、どのようなライフスタイルが朝食習慣にどう影響し、ウェルビーイングにどう影響するかを様々な観点からお伝えします。

なお、本セミナーの座長は、坪田ラボCEOで慶応大学名誉教授の坪田一男先生にご担当いただきます。