村田裕之の団塊・シニアビジネス・シニア市場・高齢社会の未来が学べるブログ

団塊・シニアビジネスのパイオニアで高齢社会問題の国際的オピニオンリーダー、村田裕之が注目の商品・サービス、シニア市場トレンド、海外シニアマーケット動向を独自の切り口で解説。ビジネスの視点、教訓・学び、生活のヒントをお伝えします。

「メディア」の記事一覧

メンズ・カーブス風景

続々登場 メンズ・カーブスの注目点は?

東北大学片平キャンパスに宮城県初の「メンズ・カーブス」がオープンした。メンズ・カーブスとは、女性専用フィットネスで業界トップのカーブスの男性版だ。注目点は次の3つ。1.筋トレ・有酸素運動・ストレッチの全てが30分で完結すること、2.個別指導のセミパーソナル・サービスがあること、3.自分のペースで無理なくでき、コスパもよいこと。

高まるフリマ熱、60代以上にも

フリマアプリの利用者といえば20代~30代の若者だと思われてきた。ところが、近年60歳以上のシニアの利用者がじわじわ増えている。ニッセイ基礎研究所の調査によると約1年で約4~5%増えている。なぜ、いま、フリマアプリがシニアの利用意欲を高めているのか。第一に不用品を処分でき、他人の役に立てる点、第二に自分で決めた価格で売却できる点、第三に社会とのつながりを感じられる点、第四に匿名配送で売買できる点だ。

脳の萎縮度のAI分析により認知症予防へつなげる

アルツハイマー病の進行過程では、記憶力や判断力などの認知機能低下の前段階に、脳の「萎縮(いしゅく)」が起きることがわかっている。特に脳の「海馬(かいば)」は最も早く萎縮が現れる。海馬を中心とした脳の萎縮がどの程度起きているのかを計測できれば、現状の脳の健康度を評価でき、将来の認知症発症リスクを推定、リスクを下げるための生活習慣の改善策を示すことが可能となる。東北大学発のスタートアップ、コグスマートは、頭部のMRI画像のAI分析によりこうしたサービスを行っている。

商品を売りたいなら、商品体験を売る

顧客にとっての「商品体験」の価値が高いと、商品の価値も高くなる、つまり商品の価格が多少高くても売れます。商品は食べてしまえば残りませんが、商品体験は人の心に残るという性質があります。だから、商品を売りたいなら、商品体験を売ることが大切です。滋賀県大津市にあるレストラン「ブルーベリーフィールズ紀伊國屋」はそのよい例です。
台場一丁目商店街の外観

なぜ、「昭和」がテーマだと心地よいのか?

40代を過ぎるとノスタルジー消費という形態が見られる。現在40代以上の年齢層は昭和文化を「世代原体験」に持っている。昔なじんだ文化体験に触れると当時の記憶や経験した情動が呼び起こされ、若くて元気で幸せだった頃の自分を追体験する。これが脳内の「ドーパミン神経系」の活性化につながり、「元気」や「やる気」を生み出す。
脳の健康教室の風景

認知機能トレーニングを継続させる3つの秘訣

認知症予防を目的とした認知機能改善のためのトレーニングが色々なところで実施されています。しかし、一般に高齢になるにつれ、こうしたトレーニング継続への心理的障壁が高くなります。今回は私が関与した事例を取り上げ高齢者に継続してもらう秘訣をお話しします。
CD楽曲をスマホにらくらく取り込めるラクレコ

CD楽曲、スマホに取り込む「ラクレコ」

シニア消費は多様性が強い。百貨店では高額品が売れる一方、スーパーでは1円でも安い商品が好まれる。一見つかみどころがないように見えるシニア消費のカギは、その人にとっての価値の「納得感」である。高額でも価値を納得すれば買うが、低額でも安っぽいだけのものは買わない。課題はいかにしてターゲット層の「納得感」をつかむかだ。最近の良い例がパソコン周辺機器メーカー、バッファローの「ラクレコ」だ。この商品はCDの楽曲を、パソコンを経由せずに簡単にスマホに取り込んで再生できる。21年6月の発売後、じわじわと人気を博し、22年1月時点で販売前想定の4倍程度の引き合いがあるとのことだ。
作動記憶量を拡大する脳トレアプリの例

高齢になっても新たな挑戦ができる秘訣

高齢期でも新たなことに取り組み、活動的に過ごす人が目につくようになっている。こうした人は私たちの認知機能の一つ「作動記憶量」が何らかの理由で若い頃と同等に維持されている可能性が高い。この傾向は若い頃から好奇心が旺盛で、多くのことに興味を持ち、行動的な人に多く見られる。しかし、若い頃にこうした傾向がなかった人もあきらめることはない。実は作動記憶量は「スパン課題」や「Nバック課題」といった脳のトレーニングによって拡大できることが東北大学の研究で明らかになっているからだ。
ラクレコ利用イメージ

シニア向け商品 ヒットの秘訣

シニア市場ではターゲット客も商品機能も絞り込んだ方がうまくいきます。最近の良い例がパソコン周辺機器メーカー、バッファローの「ラクレコ」です。この商品はCDの楽曲をパソコンを経由せずに直接スマホに取り込んで再生できます。ターゲットは50代後半から60代の主婦でパソコンを持っていないか苦手、CDを沢山持っている、音楽サブスクはしたくない人。ターゲット客を絞り込み、「不」の解消のための機能に絞り込むことで手頃な価格を実現したヒット商品の好例です。

人生100年時代の社会課題解決を「産・学・民」で共創

東北大学加齢医学研究所と女性専用フィットネス最大手の㈱カーブスジャパンは、サーキットトレーニングがスマート・エイジングの4条件(認知・運動・栄養・社会性)に及ぼす影響を包括的に検証する共同研究を開始した。スマート・エイジングは筆者が2006年に提唱したもので、「加齢による経年変化に賢く『適応』して知的に成熟する」という生き方を指す。「加齢(エイジング)」に対する「適応力」を身に着ける生き方とも言える。共同研究は仙台市の中心部にある東北大学片平キャンパスに開設した「スマートエイジング・テストベッド」において実施する。テストベッドの研究面での意義は①市民ニーズを迅速に反映した研究開発・商品化ができる、②若手研究者と年配者との交流が増えて研究の質が上がる、③学術的知見を迅速に反映したサービス提供ができることだ。
見やすいトリセツの例

見づらい“トリセツ”は「不」の代表

良い製品なのにトリセツが見づらい例が時々見られる。すると製品のイメージが悪くなり、企業イメージの低下につながり、機会損失となる。原因は製品づくりが細かく分業され、製品づくりと取扱説明書づくりを統一して品質管理していないためだ。一方、利用者に評判のよい製品はトリセツが最小限で見やすい。

挑戦する高齢者支える脳トレ

一般的に高齢になるにつれて新しいことに取り組むのがおっくうになる。私たちの認知機能の一つ「作動記憶」が一般に加齢と共に減っていくからだ。すると、新しいことの理解に必要な時間と労力が増えていく。高齢になると新しいことの学習がおっくうになるのはこれが理由だ。高齢期になってからも新しいことに取り組むことができる人は、作動記憶の量が若い頃と同等に維持されている可能性が大きい。作動記憶量は「スパン課題」や「Nバック課題」といった脳のトレーニングによって拡大できる。