12月2日 クラブツーリズム 旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術
シニア向け旅行サービスNo.1のクラブツーリズムと私が役員を務める東北大学ナレッジキャストとのコラボによる「旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術」の連載第3回が公開されました。以下にその全文を掲載します。
基礎疾患の多くは生活習慣病が原因
前回までに何度か「基礎疾患」という言葉を取り上げました。基礎疾患とは、厚生労働省の分類によれば表1の疾患になります。このうち、厚労省が特に注意を喚起している疾患の上位は、①糖尿病、②心不全など慢性の循環器疾患、③肺気腫など慢性の肺疾患です。
一方、中国・武漢からのレポートによると、新型コロナウイルス感染症により死亡した方々のなかで、50%の方に高血圧、25%の方に糖尿病の基礎疾患があったと報告されています。表1には含まれていませんが、高血圧も重症化リスクが高くなる疾患の一つです。
③の肺気腫など慢性の肺疾患は喫煙習慣が大きな危険因子です。今年3月に発症後あっという間に亡くなった志村けんさんは、長年の喫煙習慣が一因となり肺気腫を患っていたことがよく知られています。
また、②の慢性の循環器疾患の多くは動脈硬化と関連があります。動脈硬化は、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などの危険因子を多く持つ人ほど、加速度的に速まることがわかっています。
以上より新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを高める基礎疾患の多くは生活習慣病が原因であることがお分かり頂けると思います。
生活習慣病改善・予防に有効な「スーパー和食」
東北大学の都築 毅准教授らは、日本人の食事を年毎に比較する研究の結果、昭和50年代の食事が最も肥満を抑える効果が大きく、老化を抑制して長寿命をもたらすと結論づけ、「スーパー和食」と呼んでいます。
これは米のご飯を中心に、魚介類、豆類、海藻類などの食品が多く、少し欧米化したメニューが入っているものです(写真)。これが体によい第一の理由は、体内の代謝が活発になるためです。腹持ちがよい食品が多いため消化吸収のスピードが遅く、血糖値が上がりにくいからです。するとインスリンの分泌が抑えられ、脂肪が内臓に取り込まれにくくなります。
第二の理由は、体への負担が少ないためです。マウスの実験では、スーパー和食を食べたマウスのがんの発症率が現状の4分の1に、糖尿病のリスクが5分の1になったというデータが出ています。
第三の理由は、認知症の発症リスクを下げるからです。まず、スーパー和食には魚が多いことが要因です。魚にはオメガ3系という脂肪酸が多く含まれます。
これらが血中に多いと、特に高齢者の場合、記憶力などの認知機能検査の成績がよいというデータがあります。マウスでの実験でも認知症の発症リスクが4分の1に低減したというデータが出ています。
さらに、スーパー和食には豆腐や納豆などの大豆食品が多いことも要因です。福岡県久山町の大規模な疫学調査によれば、大豆食品や野菜を多く摂る人は、そうでない人に比べて認知症になる人が3割少ないという結果が出ています。
新型コロナウイルスに感染しても重症化リスクを下げるために、ぜひスーパー和食で体質改善に取り組みましょう。