サーキット運動群と対照群の介入による変化量

1月6日 クラブツーリズム 旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術

シニア向け旅行サービスNo.1のクラブツーリズムと私が役員を務める東北大学ナレッジキャストとのコラボによる「旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術」の連載第4回が公開されました。以下にその全文を掲載します。

サーキット運動30分でイライラ解消効果を初めて学術的に検証

今年8月に東北大学加齢医学研究所と女性専用フィットネス「カーブス」を運営する㈱カーブスジャパンが興味深い共同研究成果を発表しました。

それは中高年女性が30分のプログラムを一回行うだけで、認知力の一種である「抑制能力」(がまんする力)と「活力」(ポジティブな気分)が即時的に向上すること(即時効果)を初めて学術的に明らかにしたことです。この研究の成果はFrontiers in Aging Neuroscience 誌に掲載されています。

即時効果とは、その介入行為(ここでは運動)を行うとすぐに現れる効果のことを言います。これまでの先行研究で有酸素運動は高齢者の認知機能向上に即時効果があることは知られていました。

しかし、カーブスのようなサーキット運動(図1)の即時効果の詳細は、これまでほとんど研究がなされていませんでした。

サーキット運動の概要
図1 サーキット運動の内容

研究では「無作為比較対照試験」という手法でサーキット運動による即時効果の検証を行ないました。これは医療分野で用いられる科学的根拠の質(エビデンスレベル)の高い研究手法です。

具体的には中高年女性64人を、プログラムを実施する「サーキット運動群」と運動をしないで待機する「対照群」に分け、運動の前後で認知機能検査と心理アンケートを行い、その変化量を比較することで、サーキット運動の即時効果を調べました。

解析の結果、サーキット運動群の方が対照群よりも、抑制能力と活力が向上することが明らかになりました(冒頭の図)。

抑制能力とは感情や行動のコントロールに関わる機能のことを言います。例えば、ちょっとしたことでイライラしないよう感情を抑え、人間関係を良好に保つ能力のことです。また、活力とは物事を前向きにとらえ、毎日をポジティブに楽しく過ごす能力のことです。

過剰な自粛より運動して基礎疾患を改善する方が有用

コロナ禍が続く中、精神的なストレスがたまり、感情的になったり落ち込みやすくなったりする人が増えています。こうした状況下ではカーブスのような有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた運動を行うのが効果的です。

ところが、新型コロナウイルス感染症拡大の初期段階の本年2月に千葉のスポーツジムの温浴施設で計5人の感染が発覚して以来「スポーツジムはクラスター業種」のイメージがあり、何となく避けている人も多いようです。

また、政府・自治体が「高齢者は感染すると重症化しやすい」と高齢者を十把一絡げに扱う発言をし続けているため、スポーツジムに行かないどころか、外出も控え気味になりがちの方も多いようです。

しかし、連載第1回でお話ししたように、重症化リスクの高いのは「高齢の人」ではなく、「基礎疾患を持っている人」なのです。

今回の研究成果が示しているのは、過剰な自粛で運動不足になって精神的ストレスを溜めるより、感染予防策をしっかり講じている場所で科学的に効果検証された運動を行うことの有用性です。

うした運動により前向きな気持ちで基礎疾患を改善・予防できれば、むしろ感染症による重症化リスクも下げることができるのです。

東北大学プレスリリース 1回30分のサーキット運動で中・高年期女性の認知力と活力が向上! サーキット運動プログラムの即時効果を検証

旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術 第4回
東北大学ナレッジキャスト株式会社

あわせて読みたい関連記事