バイタリティとポケモンGOコラボ

シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第168回

「ポケモンGOチャレンジ」とは?

住友生命は、同社の健康増進型保険「Vitality」会員向けにポケモンGOとのコラボ「ポケモンGOチャレンジ」を4月から開始する。ポケモンGOが保険会社とコラボする初の事例だ。

Vitalityとは歩行や健康診断受診など所定の健康増進メニューの実施でポイントが獲得できる健康プログラムを含んだ保険商品だ。獲得ポイントに応じて翌契約年の保険料が割引になるのが特徴だ。

また多くの異業種企業とのコラボにより貯まったポイントでスターバックスなどのドリンクチケットがもらえるほか、フィットネスや宿泊施設の割引などの各種特典が受けられる。これらの特典は健康増進メニューを継続してもらうためのインセンティブとしている。

今回の「ポケモンGOチャレンジ」では、Vitality会員がポケモンGOアプリを自分のスマホにダウンロードし、所定の利用申請をしてから週間目標を達成すると、ポケモンGOで利用できる「スーパーふかそうち」「リモートレイドパス」「ほしのすな」などのアイテムがもらえる。

これもVitality会員に健康増進メニューを継続してもらうためのインセンティブの一種だ。

保険会社とのコラボの理由は?

なぜ、いま住友生命がポケモンGOとコラボするのか?第一の理由は、歩くことが保険料割引につながるVitality会員にポケモンGOを利用してもらうことが健康増進メニュー継続のインセンティブになりうることだ。

第二の理由は、歩くことが基本のポケモンGOの主な利用者層は50代、60代の中高年層であり、実はVitalityに加入してほしいターゲット層である。このように両者の親和性が高く見えることが今回のコラボの理由だ。

既に多数ある「歩くと得する」サービス

一方、課題もいくつかある。まず、利用手続きが複雑で敷居が高い点だ。実はスマホを持って歩くとポイントが貯まり、得をするサービスはすでに様々なものが存在する。

Coke Onウォーク
Coke Onウォーク

例えば、コカ・コーラが実施している「Coke Onウォーク」は利用者が800万人を超えるヒットサービスだ。スマホに専用アプリを入れ、歩けばポイントが貯まる。貯まったら最寄りのコカ・コーラのスマホ対応自動販売機でドリンクをもらえる。

凸版印刷が株主のワン・コンパスが運営する「aruku&(あるくと)」では、一定時間に歩いた距離に応じて「Tポイント」が貯まる。Tポイントは現金代わりに使える加盟店が多いので人気だ。

これら以外にもAmazonギフト券が当たる 「WalkCoin」や、スギ薬局での買い物が有利になる「スギサポwalk」などが人気だ。

これら人気サービスの共通点は1)手続きが簡単なこと、2)歩行距離で獲得したポイントが簡単に商品に交換できることだ。

「健康になるための保険商品」の課題

これに対してVitalityの場合、利用のためにはVitalityの保険契約以外に「Vitality健康プログラム契約」の締結と月額880円(税込)の支払いが必要となる。これが上述の人気サービスに比べて敷居が高く見える。

実はポケモンGOの利用者なら、「ほしのすな」などのアイテムが欲しいなら、880円を支払うことなく別の手段で入手することが多いからだ。

次に、元々の商品価格を高くしておいて、割引が多いと見せる手法に見える点だ。割引の考え方はサイトに詳しく説明されているが、そもそも割引前の保険料の金額の妥当性がどの程度なのかが全く不明な点がひっかかる。

さらには、健康増進メニューの実施で割引される保険という商品コンセプトに対する根本的疑問だ。保険商品というのはそもそも滅多に起きないが起きると高額出費が必要な事態への備えである。

一番の疑問は、Vitalityで記載されている健康増進メニューを実施するような人は、そもそも健康意識が高いので、こうした保険商品への加入の必要性が低いのではないかという点だ。つまり、「健康になるための保険商品」というコンセプト自体に矛盾を感じる点だ。

とはいえ、どの程度の市場性があるのかを検証する社会実験としては興味深いので、その結果を待ちたい。

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