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シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第192回 

70歳定年時代の可能性 

先日フジテレビの「めざまし8」という番組で、この4月からの公務員の定年延長に関する解説を求められた。「今後、日本でも定年が70歳まで延長される可能性はあるか?」と質問されたが、答えは当然イエスだ。

実は国は将来これを75歳まで引き上げる目論見だ。一部の会社ではすでに定年を75歳まで引き上げている。

問題は定年が引き上げられても、すべての社員がそれなりの待遇で会社に居続けられるかどうかだ。

会社にとって必要な人材は65歳を過ぎてもそれなりの処遇を受けられるが、そうでない人材は処遇水準が下がるだろう。そして、残念ながら後者が大多数になる可能性が大だ。

自分の市場価値を上げるには何が必要か?

こうした「新たな労働市場」において、自分の市場価値を上げることが多くの人に望まれる。その秘訣は、シニア向けの人材紹介サービスから垣間見ることができる。

「シニアジョブ」という人材紹介サービスでは、人材紹介の年齢割合は60代が42%、50代が35%、70代が15%、40代以下が8%で、92%が50歳以上

お分かりのように、本サービスの特徴は「シニア(この場合50歳以上と同社が定義)人材を中心にしている」ことだ。シニア求職者が若手求職者と競合しないように工夫して、求人と求職との円滑なマッチングを実現している。

シニアジョブで求人している自動車販売会社の経営者は「60代を採用することで20代も採用できる」との理由で、60代の自動車整備士を積極的に採用している。「新しい技術に対応する際にもベテランの経験と勘が若手に有用」と考えているからだ。

総合病院の事務責任者は「年齢は気にしない、経験が全て」と語る。医療事務の場合、長年の経験と培われたスキルのある人は細かな説明なしに即戦力になる。

専門性が求められる職種が売れやすい

こうした例に挙げた通り、シニアジョブのマッチングの強みは「専門職中心」で人材紹介を行っていることだ。自動車整備や医療事務のほか、会計、不動産、工務店など「専門性が求められる職種」を得意としている。

これらの職種は求職側も求められるスキルがイメージしやすく、マッチングしやすいと言える。先に述べた総合病院の医療事務職に就いた小林浩さん(60歳、仮名)は「60代となり通勤距離を短縮したく、給与もある程度維持したかったが、どちらも満足できた」と語る。

シニアジョブでは正社員やフルタイムの求人が多く、転職による給与の落ち込みが少ないという。この点も求職者には魅力となる。求人情報掲載時に「50歳以上の人材がほとんど」であることを明示し、その会社でのシニアの活躍状況を知らせている点も求職者にとって安心だ。

今の職場で専門性を磨くことが将来の価値を上げる

ここまででお分かりの通り、給与水準も高めで、求職側とのマッチング確率が高い条件は「その分野の専門性が必要な職種」である。こうした専門性は、一つの会社・組織に長期間いれば身に着くものではない。

今勤務している職場で、今後世の中で求められそうな分野で経験を積み、専門性を磨くことが、65歳を過ぎてからの労働市場価値を上げる秘訣と言える。