ちょっと一息 2011年7月21日
昨日リクルートWorks研究所によるインタビューで、
こんな質問を受けました。
こう言う質問をされる時、まず確認するのは、
「シニアの定義は何か」です。
というのは、本来シニア=seniorという言葉には年齢の定義はなく、この定義次第でどの年齢の、誰のことを議論するのかが分かれてしまうからです。
シニアの定義は、人によっては60歳以上の人の場合もあれば、
65歳以上の人の場合もあります。
一方、「高齢者(こうれいしゃ)」には「65歳以上の人」という定義が存在します。
この定義が存在する理由は年金制度に必要なためです。
支給開始年齢が明確でないと制度が設計できないからです。
ちなみに、高齢者の定義は時代とともに変わっています。
1999年にアメリカのシニアネットを日本に紹介した時、
彼らの会員資格は50歳以上でした。
いま、シニア=50歳以上の人、と言ったら違和感を持つ人が多いでしょう。
でも、ほんの12年前には、比較的違和感がなかったのです。
50年近く前は、高齢者の定義が55歳以上だったことがあります。
設立時期の古い老人ホームのなかに、
入居可能年齢が55歳以上の所があるのはこれが理由です。
仮に現時点のシニアの定義が「65歳以上の人」だとすれば、
次はいつの時点での「65歳以上の人」なのかも明らかにする必要があります。
たとえば、「2020年時点」で65歳以上の人は、
1955年(昭和30年)以前に生まれた人が対象なのに対して、
「2030年時点」で65歳以上の人は、
1965年(昭和40年)以前に生まれた人が対象になります。
このように「シニアの定義を何にするか」「いつ時点のシニアを対象とするのか」で
議論が大きく分かれることに注意が必要です。