スマートシニア・ビジネスレビュー 2024年4月4日 Vol.243
明らかになってきた“デジタル近居”サービス「ちかく」の詳細
NTTドコモとエイジテック・ベンチャーのチカクが、本年4月中旬以降に提供開始予定の“デジタル近居”サービス「ちかく」の詳細が明らかになってきた。
“デジタル近居”とは「親世帯と子世帯が物理的距離の近いところに居住しないが、デジタル技術により、まるで近くに暮らしているかのように、お互いをより身近に感じられること」
前回述べたように、従来の近居もデジタル近居も同居ではない「気楽さ」がメリットだ。
さらに、従来の近居では、いざという時にすぐに会える距離に住んでいることの「安心感」「利便性」がメリットだ。
一方、デジタル近居では、いざという時にすぐに会える距離に住んでいない場合が大半だ。代わりにデジタル技術によって「まるで近くに暮らしているかのように」、気軽にコミュニケーションや安否確認ができるのがミソだ。
これにより、従来の近居とは異なる「安心感」「利便性」を生み出している。その仕組みを具体的に見てみよう。
「ITやネットが不得手な」老親でも使える家庭用テレビ中心のシステム
最大の特長は、親側は家庭にある「テレビ」で簡単に操作できることだ。
ITやネットを使っていない高齢の親でもテレビは絶対に使っている。このテレビに専用の家型端末をつなぐだけで普通のテレビがテレビ電話になる点が卓抜だ。
しかも、端末とテレビ(HDMI)、電源コンセントと2本のケーブルでつなぐだけ。親側は自宅にWi-Fi・インターネット環境をつくる工事・作業が一切不要なのだ。
テレビの大画面でのコミュニケーションで子供・孫を「より身近に」感じる
ちかくの話をすると「テレビ電話なら、今はLINEビデオで簡単にできるのでは?」という意見を聞く。スマホを使い慣れている人どうしなら、それでもよいだろう。
しかし、スマホを使わない人、持っていても使うのが苦手な人もまだまだいる。
「ちかく」は、ITに疎い人にとっては、使い慣れているテレビなので使いやすい。何よりも操作に手間がかからないため、会話に専念できる利点がある。
また、子供とテレビ電話をしたい時はテレビのリモコンのボタンを押すだけですぐできる。この簡単さは他社製のテレビ電話にはない大きな利点だ。
それ以上に重要なのは、テレビの大画面で見ると、スマホやタブレット、パソコンで見るのに比べ「映像に臨場感が出る」ことだ。
親は子や孫の姿、表情、動作、周辺の様子、風景をはっきりと見ることができ、まるですぐそばに居るかのように身近に感じることができる。
「ちかく」をデジタル近居サービスと呼ぶゆえんだ。
子側のスマホのアプリで親の在室状況が直感的に確認できる
離れて住む一人暮らしの老親を見守る手段は既に世の中にいくつかある。
だが、「ちかく」の場合、子側のスマホのアプリを開けば、家の窓の灯りの状態で、親が在室か否かがすぐわかる(写真)。
このように親の在室状況が直感的に確認できる仕組みは、機械的でなくセンスがよい。
さらに、在室確認画面のすぐ下に「テレビ電話をかける」ボタンがあるのがよい(写真)。これだと「親が在室しているな、一言声をかけてみようか」と思ったらすぐにテレビ電話がかけられる。
こうした小さな工夫の積み重ねが、離れて住む親子のコミュニケーション頻度を高めることになるだろう。ここにもデジタル近居の意図が感じられる。
「あんしんモード」でさりげなく親を見守れる
子側のアプリで「あんしんモード」にすると、離れて住む親の睡眠時間や在室履歴など生活リズムの変化を察知できるようになる(写真)。
また、起床を確認できない場合には子のスマホに通知が届く。もしもの時には、子のスマホでテレビ電話がつながり、親の部屋の様子を確認できる機能も用意されている。
一般に見守りサービスを嫌う人は「ずっと監視されているようで嫌だ」という。双方に何の対話もなく、一方的にカメラやセンサーで「見張られる」のであれば、ほとんどの場合嫌がられるだろう。
しかし、「ちかく」の場合、臨場感あふれるテレビ電話での対話と交流をベースとした“デジタル近居”なので、一方的に親が見張られるという感覚にはなりにくいだろう。
「ちかく」には日本発のエイジテックの特長が凝縮されている
高齢者向けサービスには技術による価値を含むトータルな価値が求められる。その技術によって、シニアの「不」を解消し、利便性を向上した上で、超高齢社会の課題解決につながることが重要だ。
こうした取り組みには、きめ細かさが必要で手間暇がかかるが、忍耐強い日本人の強みでもある。「ちかく」は日本発のエイジテックの特長が凝縮されたサービスだと言えよう。
「ちかく」のブランドサイト
子ども側には、スマホで親の暮らしがわかるあんしんを。親側には、テレビを使って手軽に会える楽しみを。「ちかく」は、離れて暮らす親子が、ほどよい距離感を保てるちょうどいいサービスです。見守りサービスは、監視されている感じがして嫌だ…という方にもおすすめです。
「ちかく」ブランドムービー