2020年10月14日 クラブツーリズム 旅と人生を楽しむ スマート・エイジング術①
新型コロナウイルスの感染者数はサイクル型に増減する
東京都でもコロナ禍による営業短縮要請がようやく解除され、10月1日からGo Toトラベルキャンペーンも適用開始になります。長く旅行を自粛していた方には待ちに待った動きでしょう。
一方、行動規制を緩和すると感染者数は増加します。実は新型コロナウイルスの感染者数はサイクル型に増減します。つまり、感染者数は行動規制強化で減少、規制緩和で増加し、これを繰り返します。
図表1および2はそれぞれ東京都と英国の感染者数データですが、どちらにも同じ傾向が見られます。
欧州は日本よりも先行して感染が広がり、都市封鎖(ロックダウン)で感染拡大を抑えた後、行動規制を徐々に緩和しました。しかし、夏のバカンスシーズン後に感染者数は増加に転じています。
ウィズコロナ時代とは、文字通り新型コロナウイルスと常に隣り合わせであり、誰もが感染の可能性があります。
ワクチンが開発されればコロナ禍は収束するという期待もありますが、効果があって安全性が確認されているものが大勢の人に行き渡るまでにはしばらく時間がかかりそうです。
したがって、重要なことは仮に感染しても重症化しないように、そのリスクをなるべく下げておくことです。
問題は、高齢の方は新型コロナウイルス感染時の重症化リスクが高いと言われていることです。しかし、これは本当でしょうか。
基礎疾患の有無が、死亡率に影響
東京都の発表資料「東京都における新型コロナウイルス感染症による死亡症例」(6月30日までの集計)によると、陽性患者6,225人のうち、死亡症例は325例で死亡率は5.2%。死亡者の内訳は男性199人、女性126人、平均年齢は男性77.1歳、女性82.9歳です。
死亡率を見ると、90歳代が33.9%、80歳代が30.2%、70歳代が17%であり、高齢になるほど高い一方、50歳代以下の死亡率は0.5%と非常に低い、と報告されています。
しかし、注意したいのは基礎疾患(糖尿病、高血圧、腎疾患などの疾患)の有無が判別した死亡者数198人のうち、基礎疾患があった人が194人、なかった人が4人であることです。
つまり、死亡者の98%が何らかの基礎疾患を持っていた人だという点です。
大切なのは、基礎疾患の予防と改善
現状では高齢者に基礎疾患がある人の割合が多いのは事実です。しかし、基礎疾患がない高齢者の死亡率は、70代女性で5.9%、80代女性で3.7%であり、症例全体の死亡率5.2%とさほど変わりません。
これらのデータより、基礎疾患がある人は死亡率が高いが、高齢者でも基礎疾患のない人ならば、死亡率は他の年齢層と同水準であることがわかります。
つまり、高齢者だから死亡率が高いとは一概に言えないのです。
従って、新型コロナウイルス感染時の死亡率を下げるには、基礎疾患を持たないこと、持っていても何らかの方法で改善することが重要なのです。
過剰な自粛で運動不足になって精神的ストレスを溜めるより、きちんとした感染予防策を講じている場所で運動して、栄養管理に工夫することで基礎疾患を改善・予防する方が、むしろ感染症による重症化リスクを下げるということです。