2012年12月29日 日本経済新聞電子版
<教訓>時間消費先を厳しく選別、仕掛けが必要
新たな交流を求め、家や職場に次ぐ居場所を求めるシニアが増えるとの見方がある。プロトコーポレーションは06年、無料の飲料や講座を用意し、サークル活動の場として利用できる会員制サロン「悠友知摘(ゆうゆうちてき)」を開設。一時1500人程度まで会員が増えたが、採算が合わず10月末に終了した。
最大の敗因は、こうした「場」にシニアは容易にお金を落とさなかった点だ。当初、月額3000~1万円の3コースのうち会員の約8割は最安コースを選択。そこで値下げにより会員増を図ったものの、十分な収益を確保できなかった。
徹底してケチなわけではない。会員同士のサークル活動には「1万円以上使っていた」(同社)。だがサロンが設けたサービスへの支出は厳しく選別。人気の有料講座も競合より安いパソコン教室などだった。
サロンでの時間消費に重点を置きすぎたのかも、とは同社の反省の弁。シニアビジネスに詳しい村田アソシエイツの村田裕之代表は「時間消費にはモノやサービスの購買意欲を刺激する仕掛けが必要」と指摘する。
参考:
第6章 時間消費を勘違いするな ――コト消費からモノ消費への正しい方法
「シニアの居場所」のイメージが強いカフェの落とし穴