川島隆太・村田裕之 扶桑社 777円(税込)
■著者(村田)からのメッセージ
この本は、著者の川島・村田が所属する東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センターにおいて提唱している「スマート・エイジング」について、その理念、研究活動、および実践活動について初めて書物の形で語ったものです。
「スマート・エイジング」は、私たちが2006年から提唱しているコンセプトで、「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」と定義しています。
スマートとは「賢い」という意味です。したがって、「スマート・エイジング」は「賢く齢を加えていく」という意味になります。
年をとるにつれ、私たちは体や心などいろいろな面で変化します。ところが、あいにく、こうした変化は私たちにとって必ずしも都合のいいことばかりではありません。むしろ辛いことが多いのが現実でしょう。
しかし、だからこそ、そういう変化にもっと賢く対処する生き方を考えましょう、そして、それを考え続けることを通じて私たちはもっと成長しましょう。そういう意味合いを込めたのが、このスマート・エイジングという言葉なのです。
私たちは生きている限り、必ず年をとります。そして、年をとることがいいことか悪いことかを決めているのは、実は私たち自身です。
そうであるならば、私たちは年のとり方を主体的に選ぶことができるはずです。年をとるにつれてそのまま朽ち果てていく生き方を選ぶのか。それとも、年を重ねるごとにより賢く輝いていく生き方を選ぶのか。
どうせ年をとるなら、後者のほうがいいと思いませんか?
そのような「スマート・エイジング」という生き方を実現するためのヒントとそれを支えている私たちの研究と実践活動についてお話しました。
■書評で取り上げていただきました
「脳トレ」で有名な川島教授と、高齢化社会研究の第一人者村田さんが、とても面白い本を出された。たくさんの方に読んでほしい、とってもおすすめな一冊である。なぜなら、年を取ることが楽しくなる新しい考え方に、この国の高齢者社会を明るくする光明が見えるからだ。
本書には、高齢化社会の先頭を走る日本で進められているスマート・エイジングの研究成果と、これからの社会に必要な考え方が示されている。高齢者社会という言葉を聞けば、介護や医療、そのコスト負担・・というイメージに直結するけれど、その手前の段階が大事。いかにスマートに年を重ねていくかという知恵と工夫を社会全体として取り組む・・・これこそが、高齢化社会の先頭をいく国の課題ではないだろうか。
65歳以上の高齢者が総人口の21%以上を占める「超高齢社会」に突入した日本。人々の 「加齢」や「超高齢社会」に対するイメージがネガティブであることは否めず、実際、高齢期の人生の過ごし方や高齢者の割合の増加に伴う社会構造の変化など、個人や社会を取り巻くさまざまな不安・間題が浮上している。そんな中で、本書は今までのイメージをぬぐい去る新しい「加齢観」を提唱する。
数年前から日本に定着し始めた「アンチエイジング」が「若いころの自分に戻る、老化を食い止める」、つまり年を取ることに否定的な考え方であることと一線を画し、「スマート・エイジング」では高齢期を「知的に成熟する人生の発展期」と定義付け、「加齢による経年変化に賢く対処すれば、個人・社会は知的に成熟することができる」と説く。生きている限り続いていく「加齢現象」を、今までとはまったく別の視点からとらえることができるようになる一冊だ。
アンチエイジングのように加齢現象をネガティブに捉えた考え方ではなく、「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟する」と捉えるスマート・エイジングの研究と実践が分りやすくまとめられた良書。
“スマート”ばやりの昨今であるが、「超高齢社会」で、私たちが健やかで穏やかな生活を続けるために、本書の科学的研究の成果とそれから導かれる実践は、まさに“スマート”・エイジング。
そうした生活を人生の晩年まで送るには、「認知」「運動」「栄養」「社会性」の4つの条件が満たされる必要があると結論づけ、「認知」すなわち脳の使い方では、「作動記憶」の重要性を説き、そのトレーニングとして単純な読み書き計算が中心の「学習療法」を推奨する。すでに多くの認知症高齢者を抱える施設等からその画期的成果の報告が集まっているという。
「アンチエイジング」ではなく、「スマート・エイジング」。「脳トレ」で有名な川島教授と、高齢社会研究の第一人者村田氏が提唱するこの新しい概念は、エイジング(加齢)による経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟することを言う。
高齢社会というと介護や医療、そのコスト負担などが語られることが多い。だが超高齢社会を生きる上で必要なのは、人間が本来持っている「生きる意欲」をかきたてることが最も自然な介護予防になると提言している。
「脳トレ」シリーズ監修の川島氏と高齢化社会研究の第一人者の村田氏による共著。超高齢化社会を迎え、加齢による経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟する「スマート・エイジング」という生き方が求められている。脳トレや有酸素運動、良質な食事など、賢く年をとる方法を実践することで前向きに生きることを説く。
「スマート・エイジング」。これは、2人の著者が所属する東北大学加齢医学研究所が提唱する言葉で、「賢く齢を加えていく」という意味だ。人は生きている限り、年をとる。どうせなら、老いるに任せるのではなく、年をとるごとに賢く輝く生き方をしよう。そう提案し、脳の鍛え方や食生活のあり方など、具体的にすべきこと、ならびに学術面での成果を述べる。
「スマート・エイジング」とは、賢く歳を刻むこと。「脳トレ」の監修を務めた川島教授と、高齢化社会研究の第一人者である村田氏が、いくつになっても脳が活性化する新しい概念を伝授する。
「脳トレ」の権威、医学博士・東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター教授の川島隆太氏と同特任教授、村田アソシエイツ代表の村田裕之氏との共著。スマート・エイジングとは加齢による経年変化に賢く対応し、個人と社会が知的に成熟すること。同大の研究と実践は世界的に注目され、「学習療法」として導入、成果を上げている施設もふえている。前向きな高齢者をつくるヒントに溢れた話題の書。
超高齢社会を生きる私たちに必要なのは「アンチエイジング」ではなく「スマート・エイジング」。脳が活性化し、生きる意欲が湧く生き方を提唱する。脳の健康維持のために必要な食の大切さ、トレーニング方法など、すぐ実践できるノウハウが充実。
年を重ねるのが楽しくなる![スマート・エイジング]という生き方 目 次
プロローグ:アンチエイジングの間違いとスマート・エイジング 川島隆太
『風姿花伝』に学ぶエイジングの考え方
グリム童話にみるエイジングの考え方
エイジングの定義とは?
アンチエイジングは自分の人生の否定である
スマート・エイジングとは何か?
なぜ、今、スマート・エイジングなのか?
スマート・エイジング国際共同研究センターの使命
スマート・エイジング・カレッジ事業
スマート・エイジング・スクエア事業
プロローグのエピローグ
第一部 スマート・エイジングの実践 村田裕之
第一章 アンチエイジングとは若返りのこと?
「経年劣化」と「経年変化」
アンチエイジングとは「死ぬ」ということ
スマート・エイジングを日々の生活でいかに実践するか
第二章 「自分らしく元気にいきいきと過ごす」ための7つの秘訣
〈秘訣その1〉有酸素運動をする
〈秘訣その2〉筋力トレーニングを行う
高齢者でも楽しく続けられる筋トレとは?
〈秘訣その3〉脳のトレーニングを行う
画期的な成果をあげる「学習療法」
健康な方向けの認知症予防プログラム「脳の健康教室」
〈秘訣その4〉年金以外の収入を得る
皆さんの身近にある「働ける場」
〈秘訣その5〉他人の役に立つことをする
他人が癒やされるとき、自分も癒やされる
〈秘訣その6〉明確な目標を持つ
目標設定→達成感→さらなる意欲
〈秘訣その7〉好きなことに取り組む
第三章 ほかに例のない先進的な「三つのI」の取り組み
世界が注目する「超高齢社会・日本」
産学連携で経年変化に賢く対処する方法を生み出す「スマート・エイジング・スクエア」
SAスクエアから生まれた「新たな風」
世代間の学びで個人・社会の知的な成熟を目指す「スマート・エイジング・カレッジ」
高齢者と若者をつなぐ新たな学び舎
第四章 アメリカから始まった学習療法の国際展開
リーマンショックによる苦戦の始まり
当初、アメリカで学習療法が受け入れられなかった5つの理由
アメリカでの運命の出会い
ついにアメリカで学習療法を実施
学習療法の国際展開で学んだこと
第二部 スマート・エイジングの研究 川島隆太
第一章 スマート・エイジングを達成するための4つの条件
「こころ」と「身体」の関係を考える
「脳機能イメージング研究」とは?
「認知」「運動」「栄養」「社会性」の4条件
第二章 さまざまな情報処理を行う大脳の働き
最も高次な機能が宿る前頭前野
加齢による脳機能低下のサインとは?
脳機能は20歳から低下する
認知機能の加齢変化と生活習慣の関係を調査研究
標準〜やや太り気味の人の認知機能が最も高い
運動は少なくても、しすぎても認知機能に影響する?
知的な刺激に富んだ生活が脳を活性化する
第三章 豊かな朝食が、子どもの脳を育む
親子関係には「間合い」が大事
発達障害児の認知機能発達について
親子での調理体験が子どもの幸福を作り出す
「上手にできたね!」がさらに子どもの脳に好影響を与える
調理体験は中高年の認知機能にも良い影響を与えるか?
親子での調理体験は、親にも効果がある
親子での調理体験で抑うつ傾向や非行的行動も減少
忙しさを理由に子どもとの間合いを作らない親たち
生活でも仕事でも「忙しさ」とのスマートな調和を
第四章 「食べる」行為とスマート・エイジング
極端な食事制限は脳の活動を損なう
「朝食の質」が「人生の質」に関係する
朝食習慣が大学受験や大学生活に与える影響は?
朝食習慣は就活や年収にも影響していた!
朝食習慣と「幸せ度」の関係を探る
朝食はとるだけではなく、その「質」が肝心
ごはんのおかずの脳科学的意味とは?
脳機能を活性化させる栄養素とは?
データが証明した「朝食には和食が一番!」
欧米人は知能指数が低い?
第五章 認知機能を上げるトレーニングの考え方
生活の質を担う「作動記憶(ワーキングメモリー)」
一粒で三度おいしい「作動記憶トレーニング」
「スパン課題」と「Nバック課題」
作動記憶トレーニングで運動能力向上!
作動記憶トレーニングで大脳の神経細胞層の体積が増える
誰にでもできる作動記憶トレーニングの創生
単純な読み書き計算で脳が活発化
超高齢化の世界を救う「学習療法」
前向きな意欲を取り戻した高齢者
認知症予防につながる成果
ゲームでも効果を証明した“脳トレ”ソフト
日本の古き良き暮らしを見つめ直そう
エピローグ:自分の未来は自分でつくる 村田裕之
未来を予測する最良の方法はそれを“つくる”こと
医療・介護費を増やすより、「生きる意欲」をかき立てる予算を
スマート・エイジング・コミュニティの創出に向けて
特別寄稿
脳の健康維持への希望とスマート・エイジング ハリー・ムーディー
世界中で高まる、脳の健康維持への期待
認知症は“病気”ではない
脳の健康維持には生涯にわたる視点が必要
認知症治療への誤った期待
スマート・エイジングが切り開く認知症対策