2012618Webook of the Day

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松山真之助さんによる書評メルマガ「Webook of the Day」で新著「スマート・エイジングという生き方」をご紹介いただきました。

 

松山さんの書評でいつも感心するのは、常に著者のメッセージを的確に把握され、それを人間味ある温かな言葉によって、わかりやすく解説していただくことです。

 

書評という、客観性が求められる文章に、書き手の温かい人間性が重ね合わされ、何の違和感もなく表現される。松山さんの書評とは、そういう書評です。

 

松山さん、ありがとうございます!


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__ この本のツボは? _________

 

「脳トレ」で有名な川島教授と、高齢化社会研究の第一人者村田さんが、とて

も面白い本を出された。

 

たくさんの方に読んでほしい、とってもおすすめな一冊である。なぜなら、年

を取ることが楽しくなる新しい考え方に、この国の高齢者社会を明るくする光

明が見えるからだ。

 

アンチエイジングという言葉は、人口に膾炙し、誰でも知っている言葉になっ

ている。そこには、年を取ることにあがなう、ちょっとむなしい空気が漂う。

 

川島教授が提唱するのは、アンチエイジングではなく、スマート・エイジング。

 

さて、これらの二つは、何が違うのか。

 

川島教授は、世阿弥の「風姿花伝」を引用したわかりやすいたとえ話で始める。

 

芸の道には、「時分の花」と「まことの花」がある。

時分の花とは、若さゆえの美しさや躍動感、まことの花は、芸を磨く精進をし

たものだけが手にするもの。老いが容姿や体力を奪い、時分の花を奪っていっ

ても、まことの花を咲かせて芸術を完成させることが大切・・・というのが世

阿弥の言葉。

 

アンチエイジングとは、自分の花にすがりつきたいという生き方で、

スマート・エイジングは、まことの花を咲かせる「初心を忘れない」生き方、

だという。

 

本書には、高齢化社会の先頭を走る日本で進められているスマート・エイジング

の研究成果と、これからの社会に必要な考え方が示されている。

 

村田さんは、「自分らしく、元気に、生き生きとすごす」7つの秘訣を紹介し

ている。

1)有酸素運動をする

2)筋トレをする

3)脳トレをする

4)年金以外の収入を得る

5)他人の役に立つことをする

6)明確な目標を持つ

7)好きなことに取り組む

の7つである。

 

僕の周りにも、定年後、年金受給を受け、安泰な生活をしながら、孫の写真を

見せてニンマリの人がたくさんいる。「若いもんの邪魔になってはいかんから

、老兵は早く去らんとな・・・」と、一見、かっこいいセリフも聞くけれど、

早く去って一人楽しむのではなく、若いもんを盛り上げつつ、あと20年は社

会のために頑張る人たちが増えてこないと、この国は破たんしちゃうね。

 

村田さんの進める7つの秘訣にあるように、元気な高齢者の人たちが増えるこ

とこそ、目指すべき国の姿なのでしょう。

 

高齢者社会という言葉を聞けば、介護や医療、そのコスト負担・・というイメ

ージに直結するけれど、その手前の段階が大事。いかにスマートに年を重ねて

いくかという知恵と工夫を社会全体として取り組む・・・、これこそが、高齢

化社会の先頭をいく国の課題ではないだろうか。

 

本書には、こうした目指すべき方向へのヒントが実に満載である。

 

川島先生は、「個人が健やかに穏やかな人生を晩年まで送りには」次の4つが

大切だと結論づけている。

 

1)認知、2)運動、3)栄養、4)社会性

 

この中で、1)の認知機能を高めるには、知的な刺激がいいという。逆にTV

をぼ~っと見るような習慣はまずいらしい。日常の中に“考え行動する”時間

を習慣として組み込むのが必要なのである。

 

4)の社会性で、もっともシンプルなことは、家族で共同で何かをすること。

この次に書く、食事の準備を一緒にすることも効果的な一つだね。

 

特に僕的に目を引いたのが「食事」の話。医食同源というように食べることは

健康に直結するが、その以前の「料理を作る」という行為そのものがスマート

エイジングに効果的というところである。

 

料理を一緒につくることが、子供の成長にも高齢者のスマート・エイジングにも

効果があることがわかっているという。(なんと!!)

 

以前、【“弁当の日”がやってきた】という竹下和男さんの本を紹介したこと

がある。 → http://bit.ly/bentounoHI

弁当を作るという行為が、子供と周りの親をどれだけ啓かせたか・・という話。

 

最近では、調理体験が、高齢者にとっても非常によい効果(認知機能を高める)

があることが分っているという。

 

弁当や料理を作る・・・ありふれた行為の中にある“不思議”を、高齢化社会

でも、活用する時なのかもしれない。高齢者クッキングスクールABCとか

やったら流行るかも。(タニタさん、一緒にやりませんか~)

 

エピローグで村田さんが書かれた一文。

 

医療・介護費を増やすより、「生きる意欲」をかきたてる予算を!

 

というところは、傍線を力強く引いた。

 

人間が本来持っている「生きる意欲」をかきたてることが、結果として最も

自然な介護予防になるのです。

 

そうそう、そうなんですよ。

 

アンチエイジングが、スマート・エイジングにとって代わられ、高齢化社会が明

るい未来に見える時が来ると嬉しい。本書は、そんな未来を予見する、素敵な

ガイドブックかもしれない。

 

超高齢社会に超おすすめな一冊!

 

 

__ おすすめ度は? ___________

 

 

★★★★★+スマートに年を重ねる

 

 

__ 知りたい? _______

 

・超高齢化社会を救う「学習療法」とは?

・朝食には和食が一番?

・グリム童話にあるロバ18年、犬12年、サル10年とは?

 

 

__ 買いたい? _______25,115 /

 

 

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