日本養老産業国際研修

2023年11月17日 清華大学・桜美林大学共同プログラム

桜美林大学新宿キャンパスで日本養老産業国際研修班の人たち向けに講義を行いました。

養老とは中国語で介護を意味します。今回来日したメンバーは、中国の企業経営者であり、介護ビジネスを検討している人たちとのこと。

5日間の研修プログラムの大半は日本の介護保険制度や介護事業の話ですが、最後の私の講義だけが介護以外のシニアビジネスがテーマでした。

私の講義への質問の大半が日本の年金制度とシニアの毎月の支出

興味深かったのは、私の講義後に出た質問の大半が、日本の年金制度に関するものだったこと。次に多かったのが日本のシニアの月の支出額と費目でした。

通常、私のシニアビジネスの話を聴いた人は、シニアへのアプローチ方法やビジネスモデルに関する質問をしたり、自分でやっているビジネスについてのアドバイスを求めたりすることが多いのですが、今回は違いました。

この理由は、彼らが日本のシニアビジネスが中国で成立するかどうかを確かめたく、日本のシニアの収入と支出のレベルがどの程度かを確認して、中国のシニアとの比較をしたかったようです。

何度も出た「中国の高齢者は消費意欲が少ない」という発言

質疑の際に何度か聞いたのは「中国の高齢者は消費意欲が少ない」「日本の高齢者はなぜ、そんなに消費するのか」という発言でした。

これを聞いて私は、どの国でもシニアビジネスの初期段階では似たような発言が出ることを思い出しました。つまり「シニアは消費意欲が少ない」という発言です。

消費意欲というものは、商品・サービスの提供側が需要を喚起することで起こるものです。需要喚起のカギは、ターゲット客に起きている「変化」に即した提案です。

シニア層の消費は、シニア層特有の「変化」で決まる

シニア層の消費は、シニア層特有の「変化」で決まります。(「成功するシニアビジネスの教科書」第1章 シニアの消費行動はいかにして起きるか?――消費のトリガーは「年齢」ではなく「変化」

今回の講義でもこの話はしましたが、時間の制約から通常のセミナーより端折ったために、あまり伝わらなかったようでした。次回、同じような機会があるときには、この部分をもう少し丁寧に話した方が良いと思いました。

一方、「シニアは消費意欲が少ない」、だから「シニアには商品・サービスが売れない」と自己限定するなら、その人には永久にシニアビジネスはできないでしょう。

「シニアは消費意欲が少ない」、だから「消費意欲が湧く商品・サービスを作ろう」「消費意欲が湧く提案をしよう」と言う前向きな発想が不可欠なのです。