京都大学で「社会起業と公衆衛生」をテーマに講義します

12月2日 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻

kyotoU昨年度に引き続き、京都大学大学院医学研究科で講義することになりました。

京都大学医学研究科社会疫学分野では、「社会起業と公衆衛生(Social entrepreneurship and public health)」と題する、世界でも希少な講義が昨年度より開設されました。

この講義の目的は、コミュニティ、国家、世界など様々なレベルの、公衆衛生に関連する社会的課題を、これまでの常識を打ち破る発想で解決しようとする精神を醸成することです。

受講者は、世界の動向や科学的エビデンス、社会起業に必要な問題分析のスキルやビジネス原理に基づく持続可能な問題解決を導くスキルを学ぶとされています。こうしたスキルやビジネス原理は、これまでの公衆衛生では扱われてきませんでした

私の講義テーマは、The Smart Ageing Way: Japanese experience toward the super-aged societies(スマート・エイジングという方法:超高齢社会に向けた日本の経験)。講義は英語で行います。

私は10年以上前から「高齢社会の諸問題の解決は、極力、税金や補助金などの国費投入でなく、健全な収益事業、つまり、ビジネスで行うべき」と主張してきました。なぜなら、日本のような経済成熟国・超高齢社会は、国費投入型の社会保障政策では、もはや、財政的にやっていけないからです。

昨年の講義では多くの留学生が参加していました。そのほとんどが発展途上国からの学生です。彼らは資金に乏しい発展途上国こそ、国費投入ではなく、ビジネス原理で解決するソーシャルビジネスで社会の課題を解決する手法が必要だといいます。

経済発展国、途上国と立場が異なるにも関わらず、求められる手法が同じであることに時代の流れを感じます。

私はかつてそれまで勤めていた会社を退職し、自費でフランスのビジネススクールに留学した経験があります。その経験から自戒を込めて理解したことは「ビジネスのスクールは、ビジネスの現場にある」ということです。

大学院やいわゆるビジネススクールで社会起業論や分析スキルを学んだからと言って、それで社会の問題を解決できるわけではありません。いくら経営学を学んでも、会社の経営ができるかどうかは別のことです。

同様にいくら老年学(ジェロントロジー)を学んだからと言って、シニアビジネスで社会の課題解決ができるわけではありません

学生には、このコースが終わったら何でもよいので自分で起業しろ、と檄を飛ばそうと思っています。

京都大学で社会起業と公衆衛生について英語で講義します
京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
成功するシニアビジネスの教科書