丸の内タニタ食堂の登場が意味するもの

スマートシニア・ビジネスレビュー 2011年12月5日 Vol.169

kokusai-building体組成計で有名なタニタが来年1月に東京・丸の内に新業態ヘルシーレストランを出すとのこと。

 

この知らせを聞いて、私は二つの面で面白いと思った。一つは、レストランの立地。もう一つは、500kcal前後の低カロリー定食のみというメニュー構成。

 


レストランの立地は丸の内3丁目・国際ビルの地下一階。

実は国際ビルと隣接する帝劇ビル(帝国劇場のある所)の地下は、

かつて大半が飲食店だった。

  

国際ビルにはある大手企業の本社がある。

そこはかつて残業が多いことで有名で、

夜になると「残業弁当」と称して、

社員の多くが地下の飲食店街で食事を取った。

 

このため、国際ビルの地下街の夜の客の7割は

その会社の社員だったと言われている。

夜なので当然アルコールつきだ。

 

飲食店からすれば、これは大変なお得意様だった。

この会社の客を相手にしていれば商売が成り立ったからだ。

 

しかし、時代が変わり、こうした制度がなくなったため、

夜の客足が途絶えるようになった。

これにより多くの飲食店が消えていった。

また、国際ビルは竣工19669月で設備が古い。

丸ビルなどの再開発されたビルに比べると、

事務所としての快適さが劣ると言われている。

 

こうした理由から、国際ビルは、

丸の内3丁目の一等地でありながら、

賃料はかつてよりもかなり下がっていると思われる。

 

とはいえ、皇居の目の前、有楽町・日比谷駅から直結、

JR有楽町駅から徒歩5分という抜群の利便性はそのままだ。

付近は日本有数のオフィス街で、ターゲット客となる

ビジネスパーソンは大勢いる。

 

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丸の内タニタ食堂予想図(タニタプレスリリースより)


一方、一定食あたり500kcal前後の

低カロリー定食2種類のみというメニュー構成は、

かつての飽食時代の国際ビルであれば、あり得なかった。

 

だが、現代は、たくさん食べることよりも、

カロリー制限しながら美味しく食べることに価値を感じる

ビジネスパーソンがそれなりに存在する時代だ。

 

忙しい職場のそばで、低カロリーでバランスがとれ、

かつ美味しい食事が提供できれば勝機はあるだろう。

 

最大の課題は、一定食あたり500kcal900円程度という食事で

顧客がどの程度の満足感を得られるかだ。

 

500kcalという食事が、一体どのようなものなのかは

私も自身の体験からよくわかっているので、

なおさら興味がある。

 

最近はコンビニの弁当や惣菜も小口化・上質化しているため、

上手く選択すれば、それなりの内容で低カロリーのものは手に入る。

だが、毎回の食事をコンビニ商品で済ますのは、何とも味気ない。

 

一方、カロリー表示つきのメニューは

ファミリーレストランには結構あるものの、

肝心の料理の内容が今一つのことが多い。

 

カロリー制限が必要だと思っているビジネスパーソンは、

満腹な食事は求めない。

代わりに、満腹感ではない「満足感」が欲しいのだ。

 

バブル崩壊までの高度成長を支えたものの一つは

サラリーマンの残業だった。

 

そして、残業の苦労を会社の交際費で飽食できることが

サラリーマンのささやかな癒しになっていた時代があった。

そんな時代の象徴だったのが丸の内国際ビルの地下街だ。

 

そこに一定食あたり500kcalの食事のみ、という

飽食ではない価値を提供するレストランの登場は、

時代が大きく変わったことの象徴だ。

 

この例のように高度成長期に建てられた古いオフィスビル街で

まだビジネスパーソン人口が多い場所は

丸の内以外にも日本の都市部には多く存在する。

 

こうした場所では、今後、時代の転換を体現するような

新たな取り組みが生まれていくことだろう。

 

 

●参考

 

多様なミクロ市場の集合体 - マス・マーケットではない団塊・シニア市場

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