スマートシニア・ビジネスレビュー 2007年1月22日 Vol. 100
拙訳「いくつになっても脳は若返る」のなかに次のくだりがある。
人生の後半生において創造性を発揮する人には、
三つの基本パターンがある。
①遅咲きの人たち
②早咲きの人たち
③喪失体験が引き金となった人たち
遅咲きの人たちはおおむね65歳以降に、
それまで隠れていた創造性が花開く人。
早咲きの人たちは、20代や30代に創造性を発揮し、
成功を収めた人が、後半生にさらに花を開かせる人。
喪失体験が引き金となった人たちは、体の機能を失ったり、
愛する人を失ったりしたことで、創造性が花開く人。
人との出会いもこれと似たところがあると思う。
①出会ってからしばらくは大した関係ではなかったが、
ある時、突然急に関係が深まる人。
②出会った瞬間から意気投合し、急速に関係が深まる人。
③出会ってからしばらくは大した関係ではなかったが、
相手または自分の喪失体験がきっかけで突然関係が深まる人。
今回のアメリカ滞在中にいくつかの①と②の機会があった。まるで地面の下でじわじわとエネルギーを溜めていたマグマがふとしたきっかけで突然炎の如く噴出したようなものもあった。
あるいは、冬の間、地面のなかで眠っていた虫が、
春になり、地上に顔を出したところに
ちょうど出くわしたようなものもあった。
こうしたことを体験すると、改めて人との出会いには
全て何らかの意味があるように思えてならない。
仕事を通じてあるいは個人的な活動通じて、
われわれは多くの人との出会いがある。
ところが、その人と出会った時には、
多くの場合、その出会いの意味に気がつかない。
だからこそ、人との出会いを大切にしたい。
たとえ、最初に出会った時に嫌な思いをしたとしても、
その人との出会いを否定せず、
その意味を一旦受け止めるようにしたい。
人との出会いは、「関係性のストック」だからだ。
たとえ、その人としばらく疎遠だとしても、
その人とそれほど親しい関係でないとしても、
無理やり関係を強めることなく、かといって遠ざけるわけでもなく、
その人との関係の機が熟するときを待ちたい。
いろいろな人との関係性のストックは多い方がよいと思う。
なぜなら、そうした関係性のストックは、
時間が経つと何か新しいもの、
あるいはとても大切なものに変化する可能性があるからだ。
そして、こうした変化は、
「時間の経過」があるからこそ体験できるもの。
エイジングとは、時間の経過により、その性質が変ること。
人との関係性もエイジングにより性質が変わっていく。
こうした変化は、生き続けているからこそ体験できるもの。
だから、たとえどんなことがあっても、
与えられる命の限り、生き続けることが大切だ。
そんな思いを強くしたアメリカ出張だった。
●参考情報
いくつになっても脳は若返る