親の介護―老人ホームを探す③ 入居後のトラブルを避けるには?

解脱3月号 連載 スマート・エイジングのすすめ 第15回

解脱会_表紙_3月入居後に多いトラブルは途中退去に関すること

入居後のトラブルで特に多いのは、(1)入居後、終身住み続けるつもりだったのに健康状態の悪化に伴い途中退去を求められることによるトラブルと、(2)その際に返還される「入居一時金」の返還金額が予想よりも少ないことによるトラブルです。

入居後、途中退去する場合にトラブルが多い理由は、端的に言えば、入居契約時の「契約条件」の確認が十分でないからです。

途中退去する場合の条件は、「重要事項説明書」と「契約書」には必ず記載されており、契約時に必ず説明を受け、契約条件の承諾を確認したうえで、契約書に捺印する手順を踏んでいるはずなのです。にもかかわらず、トラブルになるのは、ホームスタッフによる説明不足と入居者側の思い込みが原因です。

有料老人ホームによっては、入居者の健康状態が悪化し、数か月以上の入院治療が必要な状態になると、退去してもらう条件になっているところがあります。その理由は、有料老人ホームは、基本的に病院ではないためです。

介護付有料老人ホームの場合は、その名のとおり、介護をするのもサービスなのですが、入居者の健康状態が悪化し、医療行為が必要になってくると、ホームのスタッフでは法的にも対応ができなくなるのです。

有料老人ホームは病院ではありません。にもかかわらず、パンフレットに「三六五日二四時間看護師が常駐」、「提携医療機関からの医師の定期往診」、「安心の健康サポート体制」などの言葉を掲げていることが多いため、入居者側があたかも病院のように対応してくれるかのように思い込んでしまいがちなのです。入居者側の期待感をあおる、こうした表現は誤解されやすいと言えましょう。

gedatsu0603老人ホーム業界特有の「償却」という仕組み

また、多くの有料老人ホームでは、入居時に「入居一時金」を徴収する仕組みになっています。入居一時金は、賃貸マンションなどの「敷金」や「保証金」とは異なります。介護型では概ね五年分、自立型では概ね一五年分の家賃を「前払い分」として入居時に納めるものです。

この入居一時金は、「償却」という業界独特の商慣習により、ホーム側の収入として回収されていきます。「初期償却」といって、入居時に一時金の一五から三〇パーセント程度が回収され、残りが上記の年数の間に回収されるのです。このため、途中退去の場合、返還される入居一時金は、支払った金額よりも少なくなります。償却期間を過ぎてから退去する場合は、入居一時金は一円も返還されません。

こうした仕組みの説明も、多くの場合、先の重要事項説明書や契約書に記載されており、それを承諾のうえ、契約を結んでいることになっているはずなのです。ところが、いざ、途中退去の段階になると、思っていたより返還金が少ないと感じてトラブルになることが多いようです。

入居前の「重要事項説明書」の確認がカギ

あなたの親をこうしたトラブルから防ぐためには、まず、親の入居前に重要事項説明書や契約書を「あなた自身」がよく読んで、疑問点は契約前にすべて解消しておくことです。そして、親がどのような健康状態になった場合に、退去しなければいけないのか、あるいは、退去する必要がないのかを契約前によく確認することです。

さらに、入居後に途中解約した際の入居一時金の返還額も、できれば表やグラフに記載されたものを入手できるようにホーム側に依頼することです。こうすることで、少なくとも途中退去に関わるトラブルは、かなり減らせるはずです。

親が70歳を過ぎたら読む本

あわせて読みたい関連記事