ちょっと一息 2011810

rejibukuro-sakugen昨日ある小売業の方とお話しをした際に、スーパーのレジ袋が有料な所と無料の所があるという話題になった。

 

私の自宅近くの大手スーパーでは半年前からレジ袋が有料になった。そのことだけでなく、店全体が以前よりも世知辛くなり、何となくその店に行く気がなくなった、という意見を多くの主婦から耳にしていた。

 

レジ袋の課金は一袋5円。たかが5円くらい、たいしたことはないように思えるが、主婦がスーパーで買い物をする場合、5円高いと言うのは気になるのだ。代わりに行くようになったという店では、レジ袋が無料だ。

 

これはガソリンスタンドでガソリンが1リットル1円他店より安いという理由で、その店を選んでしまうのと似ている。購買する場所によって価格帯に対する固有の相場観があるからだ。

rejibukuro1リットル1円安いガソリンスタンドに行くのに何キロも走って、価格差以上の出費をしていることも実際多いのだが、そんなことより同じ品質で他よりも安いお買い得品を手に入れた、という満足感の方が消費行動においては勝るのだ。

 

レジ袋有料化の背景には、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量削減が理由にあるらしい。プラスチックごみを少なくし、ごみを燃やす際の二酸化炭素排出量を抑えるためだ。だから、プラスチックであるレジ袋を有料化すれば、利用量が減って、二酸化炭素の排出量も抑えられると言うのが論理である。

 

しかし、実際にスーパーで買い物をする主婦の多くは、そんなことは気にしていない。あるいは、気にしていたとしても、買い物の最後に世知辛い対応されることの不快感の方が大きいのだ。

 

スーパーの経営者は、地球環境保護の視点、というよりCSR(企業の社会的責任)の観点からレジ袋の有料化に踏み切った。だが、スーパーのエンドユーザーである主婦は、世知辛い対応とみなし、他店に鞍替えしているのが現実だ。

 

この話は、実は環境優先か経済性優先かの答えのない古典的な問いである。

経営者とは、答えのない問いに答え続けなければならない職業であることを実感する。