経験を活かして人と関わる機会を得るコツ

穴吹コミュニティ さーぱすねっと

株式会社穴吹コミュニティが入居者向けに運営する「さーぱすねっと」「人生100年時代のスマート・エイジング 経験を活かして人と関わる機会を得るコツ」と題した小論が掲載されました。以下、その全文です。

スマート・エイジングの必要条件は「運動」「認知」「栄養」「社会性」

スマート・エイジングとは、私が2006年から提唱し、東北大学で研究に取り組んでいる超高齢社会の加齢観です。

スマート(Smart)とは「賢い」という意味ですのでスマート・エイジング(Smart-Ageing)は「賢く齢を加えていくこと」になりますが、むしろ「いくつになっても成長できる生き方」であると強調しています。

私たちはスマート・エイジングの必要条件として「運動」「認知」「栄養」「社会性」の4つを挙げています。「運動」と「認知」は、それぞれ「体」と「脳」を使う習慣、「栄養」とはバランスのとれた食生活習慣を意味します。

「社会性」とは、人と関わる機会を持ち続ける習慣です。企業戦士が退職し、悠々自適のつもりが、これといった趣味もなく家庭の「粗大ごみ」と呼ばれて数年後、気がつけば認知症への坂道を下っていくというのは、よくある話です。

いくつになっても社会の一員であり続けることが、総合的な作用として心身機能を高めるのです。とはいえ、高齢になってから、いきなり地域社会へ飛び込むのは容易ではありません。

若い頃から、勤め先以外に自分の居場所を見つけられれば理想的ですが、身を粉にして働いているとなかなかそうはいきません。そこで本稿では、これまでの「経験を活かして人と関わる機会」を得るための心得を3つお話しします。

「経験を活かして人と関わる機会」を得るための3つの心得

1.人と関わる機会に何を求めるのかをはっきりさせる

収入を得たいのか、ボランティアでよいのか。収入を得たいのなら月にどの程度か。ボランティアの場合、その活動に何を求めるのか。

特定のテーマを勉強したいのか、その仲間を探したいのか等、人と関わる「目的」を明確にすると気持ちがぶれにくくなり、うまくいかない場合も他人に責任転嫁しづらくなります。

2.自分ができることは何かをはっきりさせる

50歳以上に特化した転職・派遣サービスを行う企業によれば、専門性が明確な職種ほど、求職者と求人者とのマッチング率が高く、双方の満足度が高いことがわかっています。

フルタイムの職種ではなく、プロボノのようなボランティアだとしても、自分の経験を活かすためには、自分ができること、得意なことは何かをはっきりさせておくことが重要です。

仲間探しにおいても、自分の得意分野を掲げることで同好の士との出会いの確率は上がります。

3.機会参加の条件をはっきりさせる

その機会への参加で報酬を得られる、得られないに関わらず、何らかの責任を負う活動の方が適度な緊張感が生まれ、自分事となり有意義です。

ただし、後でもめないように事前に参加の条件や役割と責任範囲を明らかにしておくことが重要です。この点で主催者が明確で責任の所在がはっきりしている活動が取り組みやすいと言えます。