中国国際高齢者ケアフォーラムで講演します

2016年1月6日 Lujiazui Summit

上海1月6日、7日に中国・上海市で開催されるChina International Eldercare Forum – Lujiazui Summitで基調講演することになりました。

このフォーラムには、中国の高齢者施設・シニア住宅事業者のCOO(最高運営責任者)クラスが一堂に会するそうです。

数年前に日本の老人ホーム事業者の幹部から「中国の高齢者施設、老人ホームの状況は、日本の40年前」と聞きました。大陸に比べてはるかに民度の高い香港ですら、未だに繁華街にポツンポツンと40年前に日本に存在した養老院のような施設が見られます。いわんや中国大陸をや。そういうイメージをつい最近まで私も持っていました。

ところが、今回予定のプログラムを見る限り、そうした先入観は捨てた方が良いと思いました。広い中国大陸で見る限り、まだまだ遅れている部分はあるかもしれませんが、上海のような都市部を中心に、急速にキャッチアップしようとしている・・・そういう感じが伝わってきたのです。

上海にもすでにいくつかの日本の介護事業者が進出しています。また、数年のうちに現地進出を予定している企業も複数あります。

しかし、日本国内で評判がよいと言われている事業者でも、海外に進出した時に果たしてどの程度競争力があるのかは冷静に見た方が良いでしょう。

一般に高齢者介護の世界はどこの国も国内指向が強く、とりわけ公的介護保険制度に依存している日本は、かなりその様相が強いのです。「日本の常識は世界の非常識」は介護事業の世界には結構存在します。

シンガポールや香港で開催される高齢者事業に関するイベントに参加すると、必ず目にするのは、アメリカやオーストラリアの大規模高齢者コミュニティ、いわゆるCCRCを売り込みに来るデベロッパーです。これらの人たちは、日本ではほとんど会うことはありません。日本ではほとんど市場性がないと思っているので、彼らのビジネスターゲットになっていないのです。

彼らのターゲットは中国です。その理由は、国土が広く、土地のコストが安いこと、高齢者の絶対人口が多いため大規模ビジネスが適用しやすいと思っていることです。事実、上海周辺にもCCRCがいくつか増えつつあるとのことです。

一方で、上海市というのは面積比では東京都の3倍の規模。東京都心部のような大都市部から、鹿しか住んでいないような田舎まであります。

大都市部では、家族構成が4-2-1、つまり、一人っ子政策のために子供が1人で、2人の夫婦が4人の老親の面倒をみなければならない世帯が多いようです。高齢化の影響は都市部で先鋭化していきますが、上海もまさにその状況になりつつあります。

つまり、上海市周辺は、東京のような都市型コミュニティと地方型コミュニティがミックスされている地域といえ、日本とは異なる特徴を持っていると言えます。

過去14年、年初は必ずアメリカに行くことになっていました。それが来年は中国大陸が最初の訪問地になりました。何かの意味がありそうです。

シニアシフトの衝撃