スマートシニア・ビジネスレビュー 2014年3月30日 Vol.203
イオンが4月から格安スマホの販売に乗り出すとのこと。端末代と定額ネット接続、通話基本料の合計で月2980円(税抜き)。大手携帯電話会社の半額以下で、2年間の契約期間中にやめても解約金はとらないとのことです。
ただし、月2980円の内訳は、端末代金3万4080円の24回払いで月額1420円+通話基本料と使い放題のネット接続料を含めた「SIMカード」で月1560円。つまり、解約せずに2年間継続した場合の金額が月2980円であることに注意です。それでも、既存のサービスよりは割安なので、価格の安さを好むユーザーには歓迎されるかもしれません。
課題は、端末がグーグルのネクサス4だけであること。私はパソコンにおけるマイクロソフト独占がパソコンの使いにくさが改善されない元凶だと思っているので、グーグルがいろいろと挑戦することに賛同しています。特にネットサービスにおいては、明らかにマイクロソフトよりもグーグルの方が優れています。
しかし、スマホについては、アンドロイドよりもiOS、つまりiPhoneやiPadの方が使いやすく、優れているので、ここが難点です。日本においてアンドロイドよりもiOSが人気があるのは、日本の既存ユーザーの多くは、単に価格だけではスマホを選ばないということでしょう。
また、日本通信の通信サービスを使うとのことですが、これは使ってみないとどの程度の実力かは正直わかりません。
さらに、こうした技術面よりも、もっと大きな課題は、イオンの窓口対応だと思われます。スマホという商品は、単なるコモティティと異なり、販売窓口での説明が長く、技術的な説明も多いため、担当者にそれなりのスキルを求められる商品だからです。
価格が安いということで、それを好むユーザー層としてリタイアしたシニア層が考えられます。しかし、こうした人たちが大量に来店したら、どうなるか・・・販売員の対応がすぐ問われることになるでしょう。
スーパーマーケットという業態は、店舗ではなるべく人をかけず、人件費を抑えるのが基本なので、スマホはそうした習慣になじみにくい商品だと思われます。人員をかけるには、それだけの利幅が必要となりますが、果たして今回の商品がそれだけの利幅のある商品なのかはわかりません。
ただ、こうした試みを通じて、一部企業による独占体制が崩れ、適正価格と品質に向かう動きはウェルカムですので、ぜひ、イオンには頑張ってほしいと思います。
イオンが格安スマホ 端末・回線、月2980円 日本経済新聞(有料)