毎日新聞 2013年6月1日 連載 村田裕之のスマート・エイジング  第3回 

mainichi130601前回取り上げた脳卒中は生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)が原因です。これを改善するには、喫煙、食べ過ぎ、酒の飲み過ぎ、運動不足、過度なストレスなどの生活習慣を改めることが必要です。同時に血中の脂質を燃やす有酸素運動が効果的です。一番手軽なのはウォーキング。一日30分で十分です。

 

しかし、介護予防のためにはウォーキングだけでは不十分です。運動器の維持のためには筋力を鍛えることも必要です。なぜなら、私たちの体は普通に生活しているだけだと加齢とともに筋肉が減っていくからです。体の筋肉量は20代を100%とすると、60代で60%、70代で50%になるというデータもあります。また、上半身よりも下半身が、男性よりも女性の方が、筋肉が減りやすくなっています。

 

実はウォーキングだけでは転倒・骨折予防に有効な腹筋・背筋など体幹部の筋肉はあまりつきません。また、歩行機能の面で特に重要なのは大腰筋という上半身と下半身をつないでいる筋肉です。私たちは、通常歩くとき、無意識にかかとから地面について歩きます。ところが、大腰筋が弱ってくると、かかとからではなく、つま先から地面につけて歩くようになります。すると道端の段差や石ころ、家のなかの布団につまずいて転倒しやすくなります。

 

こうした事態を避けるには、筋トレで体幹部や下肢の筋肉を鍛えることが重要です。80代を過ぎても鍛えれば筋肉は増えていくことが分かっています。すでにスポーツジムに通っている人はぜひ続けてください。まだの方はぜひ試してみてください。

 

 

スマート・エイジングという生き方

 

シニアシフトの衝撃