毎日新聞 連載 村田裕之のスマート・エイジング  第2回

要介護主原因65歳以上の方に生活上の不安を尋ねると「病気や認知症になり、要介護状態や寝たきりになること」が必ずトップに挙がります。一方で、何が原因で「要介護状態や寝たきり」になるのかをきちんと理解している人は少ないようです

 

厚生労働省国民生活基礎調査(2010年)によれば、介護が必要になった主な原因の第1位は男性が脳血管性疾患、女性が認知症です。脳血管性疾患は脳卒中と呼ばれ、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。第2位は男性が認知症、女性が脳卒中です。ただし、認知症の原因の3割が脳卒中なので、男女とも脳卒中の割合が大きいと言えます。

 

第3位は高齢による衰弱ですが、特に「サルコペニア」と呼ばれる加齢に伴う筋肉量の減少が主な原因と言われています。第4位はひざや腰などの関節疾患、第5位は骨折・転倒です。これら五つで要介護状態になった原因の7割程度を占めています。

 

mainichi_130504_2つまり、要介護状態になった原因の第一位と第二位が脳の病気、第三位から第五位が運動器の病気であることがわかります。脳と運動器を適切に維持できれば、要介護状態になるリスクはかなり下がるのです。

 

一旦要介護状態になると、6割以上の人が4年以上要介護になります。本人も大変ですが、介護に従事する家族など周りの人の負担が本人以上に大変です。だから、自分がなるべく介護状態にならないようにすること、つまり予防が大切なのです。

むらた・ひろゆき 新潟県出身。シニアビジネス分野のパイオニアで高齢社会研究の第一人者。著書に「スマート・エイジングという生き方」「シニアシフトの衝撃」など。

 

 

スマート・エイジングという生き方

 

シニアシフトの衝撃