スマートシニア・ビジネスレビュー 2013516Vol.193

WHO_WHS2013世界保健機関(WHO)15日発表した2013年版の世界保健統計(World Health Statistcs)によると、2011年の日本人の平均寿命は83歳で、スイス、サンマリノと並び世界で最も長いことがわかりました。

 

ただし、男女別の平均寿命で見ると、女性は86歳でやはり日本が世界一なのに対して、男性は79歳で世界一ではありません

 

男性で日本よりも平均寿命の長い国は、1位がカタールの83歳、2位がサンマリノの82歳、3位がアイスランドの81歳、4位がイタリア、イスラエル、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイス、スウェーデン、クウェートの80歳です。

 

ちなみに、男女合計で1位、男性で2位のサンマリノは、イタリアに囲まれた人口32,000人強の小国家です。独立国家なので、統計上は一つの国として扱われますが、ある程度の人口・経済規模の国家としてはスイスの平均寿命が長いことが目を引きます

 

実は私は昨年5月にスイスで開催された日本とスイスの高齢化に関する専門会議に参加していたこともあり、身近な感じがしています。

 

日本とスイスは、両国とも国土における山岳地帯の割合が多く、高い技術力を背景にサービス分野でも発達した経済先進国です。

 

どちらも生活レベルは高く、健康保険などの社会システムは世界有数の水準にあります。一方、両国とも出生率が低下し、人口の都市部集中が進み、高齢者人口が増え続けています。

 

スイス人は、「スイスはEUに属さないがEU加盟国に囲まれている。日本は海に囲まれている」と冗談を言います。

 

地理的には欧州ですが、EU加盟国ではないスイスのスタイルには学ぶべき点が多くあると思います。


一方で、平均寿命が世界一だからといって誇れる時代はもう終わっています。平均寿命が長くても、要介護・寝たきり状態で長生きしている人が多いだけなら、健全とはいえないからです。

 

世界中が高齢化するこれからの時代には、むしろ「健康寿命」が長くないと誇ることができません。

 

ここで「健康寿命」とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のことをいいます。WHO2000年にこの言葉を公表しました。平均寿命から介護(自立した生活ができない)期間を引いた数が健康寿命になります。

 

2004年のWHO保健レポートでは、日本人の健康寿命は男性で72.3歳、女性で77.7歳、全体で75.0歳であり、世界第一位でした。しかし、その後世界各国の健康寿命を比較したデータはありませんので、現在の状況は何とも言えません。

 

ちなみに、厚生労働省による20126月の発表によると2010年の日本人の健康寿命は、男性で70.42歳、女性で73.62歳です。上述のWHOの数値と異なっているのは、健康寿命の定義がWHOと日本政府とで異なることと、評価年度が異なることによると思われます。

 

高齢化対策に関する日本とスイスの専門家シンポジウム

世界保健機関(WHO) 2013年版世界保健統計