スマートシニア・ビジネスレビュー 2007年12月25日 Vol. 112

world-demography全人口に占める65歳以上の割合を高齢化率という。
これが7%を超えると高齢化社会、
14%を超えると高齢社会と呼ばれている。

国連の統計によれば2030年までにアフリカと南米の一部の国を除く世界のほとんどの国が高齢化社会になると予測されている。

なかでも、高齢化が著しく進むのは日本と欧州である。

2007年の日本の高齢化率は22%近くに達している。
これは世界で最も高い数値である。
日本の高齢化率は1980年あたりから急に加速し始め、
1990年にはアメリカとほぼ同率に並び、
そこからあっという間に他国を抜き去ってしまった。

ジャパン・パッシングと呼ばれて久しく、
世界における存在感が下がる一方の日本だが、
おかげで高齢国家としては世界中から注目されている。

世界最大の高齢者NPO・AARPが
2002年よりグローバル・エイジング・プログラムを開始し、
世界中の高齢化動向の調査を行っている。

なかでも最も興味深い対象が日本である。
今年3月には東京で日本経済新聞社とセミナーも共催しており、
日本に対する大きな関心を示している。

一方、スイスの世界人口問題協会では毎年秋に
世界中のエイジング研究者を集めて会議を開催している。
私もアドバイザリー・ボード・メンバーを務めており、
2006年度から実施している「ジャパンビジネスセッション」は、
毎年高い関心を集めている。

また、韓国では来年から介護保険制度を導入するにあたり、
数年前から日本に沢山の人を送り込み、
日本の制度をよく研究してきた。

さらに、シンガポールでも政府主導で
「シルバー産業委員会」が組織化され、
シルバー産業の育成に力を入れ始めた。

シンガポールのような若い国が
なぜ、そんなことをするのかと思ったら、
少子化の進行が著しいからなのだ。

そして、おそらく次にくるのは中国だろう。
中国の60歳以上の人口は1億5千万人に増え、
日本の総人口より多い。
環境問題の次に高齢者問題が深刻化するのは
もはや時間の問題だ。

このように日本は世界から
高齢社会の「ショーケース」として見られている。
つまり、良い意味でも、悪い意味でも、
日本は高齢社会の面で21世紀の世界のモデルになる。

だから、日本が世界に先駆けて高齢社会に相応しい
商品・サービス・制度を次々と生み出していけば、
今後高齢化の諸問題に直面する多くの国から
一目置かれるようになる。

高齢化時代とは日本がリーダーシップをとれる時代なのだ。

 

●参考情報

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