11月2日 HKHS設立70周年記念国際コンファレンス
11月2日に香港で開催の国際コンファレンスに講演者として招待頂きました。
このコンファレンスは、香港の高齢者住宅デベロッパー、Hong Kong Housing Society (HKHS)の設立70周年を記念して開催されるものです。
テーマは「Building a Smart and Livable City for an Ageing Community」。直訳すれば「賢く、生活適性ある都市を高齢社会につくる」となりますが、意訳すれば「より賢明で持続的な都市を高齢社会につくる」です。
ご存じの通り、私は2006年から「スマート・エイジング(Smart Ageing)」という超高齢社会の加齢観を提唱しています。私はスマート・エイジングを「エイジングによる経年変化に賢く対処し、個人・社会が知的に成熟すること」と定義しました。
スマート(Smart)とは「賢い」という意味ですので「スマート・エイジング(Smart Ageing)」は「賢く齢を加えていく」という意味になります。
しかし、もっと丁寧に言うと、スマート・エイジングとは「個人は時間の経過とともに、たとえ高齢期になっても人間として成長でき、より賢くなれること、社会はより賢明で持続的な構造に進化すること」を意味します。
奇しくも冒頭にご紹介した今回の国際コンファレンスのテーマは、実は私が提唱しているスマート・エイジングの考え方にかなり近いことに気が付きます。ようやく実社会が12年前に提唱したコンセプトに追いついてきたようです。
その一方で、香港に限らずデベロッパーがつくる高齢者住宅は相変わらずハード先行で、豪華な器はそれなりにつくります。しかし、「より賢明で持続的な都市を高齢社会につくる」ためのソフト部分は後回しの傾向が相変わらず強いようです。
今回主催のHKHSは数年前に地上39階建ての超高層CCRCを香港で初めてつくりました。当初販売に苦戦していましたが、価格調整をした結果、入居者が増え、現在では入居率がほぼ100%となりました。
しかし、CCRCのうち、かなりの部分がインディペンデント・リビング、つまり自立して生活できる人向けの住居です。日本で言ういわゆる「シニアマンション」です。
入居者の平均年齢は70代とのことですが、10年後、20年後にこのコミュニティーがどうなっていくのかはほとんど想定ができていません。
もちろん、CCRCとしての設計はされているので、ハードとしてのアシステッドリビングや介護施設はありますが、肝心のソフト部分は未整備の状態です。
今回のコンファレンスでは、このあたりの話をしてこようと思っています。