11月1日 香港理工大学アクティブ・エイジング・セミナー
11月1日に香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)で開催されるアクティブ・エイジング・セミナーで講演することになりました。
このセミナーは、香港理工大学の「アクティブ・エイジング研究所(The Institute of Active Ageing)」の主催で行われるものです。
アクティブ・エイジング研究所は、香港理工大学の教授陣、研究者23名を横断的に束ねて、来るべき超高齢社会に向けた研究を大学一丸となって推進するための組織です。
私の講演テーマは「Creative responses to the super-aged society: lessons from Japan(超高齢社会への創造的対応:日本の経験から学ぶ)」。
世界で最も早く超高齢社会になった日本は、多くの課題に直面しています。しかし、必要は発明の母。こうした課題にいち早く取り組むことで、他国に先駆けて解決策を見出すことができます。そして、それらの解決策は、これから順番に高齢化する他国から見れば、大きな魅力になるのです。
さて、このブログの「超高齢社会でのシニア住宅産業の戦略はどうあるべきか?」で説明のとおり、香港と日本との間には多くの共通点があります。その一方で相違点も当然あります。
シニアビジネスの観点から見ると、最大の違いは、日本には公的介護保険があるのに対し、香港にはないことです。これにより、たとえば、介護サービスや高齢者向けの住宅サービスではビジネスモデルが変わります。
また、香港は日本に比べて所得格差が激しいのも違いの一つです。先日の報道によれば、香港の全人口の5分の1が貧困にあえいでいることが明らかになった、とのこと。
SankeiBiz 10月5日:香港 広がる所得格差、5分の1が貧困層
←会場の香港理工大学
一方で、富裕層もそれなりに存在します。彼らは常時メイドを何人も雇っており、ホームドクターもいます。病気になればホームドクターが在宅医療?を提供し、仮に介護が必要になったら、介護用にメイドを雇うというのが当たり前になっています。こうした生活スタイルは、いわゆる富裕層でも日本ではあまり一般的ではありません。
ただし、介護用にメイドを雇う場合の問題は、彼らが介護のプロではないことです。きちんとした介護技術の研修を受け、スキルを習得している例は少なく、特に認知症ケアなどには対応できていないのです。
さらに、現時点で日本よりも合計出生率が低く、今後急速な高齢化が進むとはいえ、現時点の高齢化率は14%と日本の25%の半分程度であり、全体としてはまだ若い国なのです。したがって、高齢者を対象にした市場は、現時点ではまだ限定的であることを忘れてはいけません。