10月28日 ソウル・シニア・フェスティバル国際コンファレンス
10月30日の香港での国際コンファレンスの直前、10月28日に韓国ソウルでの国際コンファレンスでも講演することになりました。
このコンファレンスは、韓国ソウル市が10月24日、25日、28日開催するソウル・シニア・フェスティバルの一環として開催されるものです。
コンファレンスのテーマは「Healthy Workforce(いつまでも健康で働ける場所)」。韓国政府は、定年を55歳から60歳に変更することを発表しており、雇用者と被雇用者の双方により高齢でも健康的に働き続けられる環境の整備を求めています。
しかし、実際どのようなことが求められていくのかについては未知の部分が多く、国際コンファレンスを開催することで外国のノウハウを吸収したいという思惑があるようです。日本はすでに定年が65歳になっているので、この点でもかなり進んでいると言えますね。
韓国の高齢化率は2013年現在12.2%で、アジアでは日本の25%、香港の14%に次ぐ3番目のポジションです。しかし、合計出生率が香港同様1程度と日本よりも小さく、今後20年間で急速に高齢化が進むことが予測されています。
一方、2012年の一人当たりの購買力平価GDP(各国の物価の違いを修正した数値)では、日本が36,266 USドルなのに対し、韓国は32,272 USドルで、日本といい勝負になってきています。つまり、購買力の面では、日本並みに近づいているのです。
しかし、昨日韓国KBSテレビのインタビューを受け、いろいろと質問を受けたのですが、質問される際に引用される高齢者のイメージが、日本の15年くらい前の高齢者をイメージされている場合が多いように感じました。つまり、韓国における高齢者のイメージがそうなのでしょう。
私は2年前の2011年9月6日にソウルで開催された韓国ベビーブーマー市場に関するコンファレンスに招待講演者として参加したのですが、その時の印象も「ベビーブーマーの年齢層が8年ずれている分、議論の内容も8年程度ずれている」という感じでした。
スマートシニア・ビジネスレビュー 2011年9月6日 Vol.162
国民の所得水準は上がって来たものの、長寿命社会、高齢社会に対するインフラ、商品、サービス、雇用体制の整備は、まさにこれからという段階なのです。
今回の私の講演タイトルは、「Age-friendly business, success and failure: lesson from Japanese experience」としました。日本語で平たく言えば、「高齢者にやさしいと高齢者に嫌われる」というタイトルです。
拙著「シニアシフトの衝撃」でも述べているように、ここ数年、エイジフレンドリーという言葉が日本のみならず、多くの国で目につきます。エイジフレンドリーとは、もとは英語でage-friendlyと表記します。日本では「高齢者にやさしい」と訳されることが多いです。
←韓国語版「シニアシフトの衝撃」
エイジフレンドリーという言葉が最近目につく理由の1つとして、WHO(世界保健機関)が提唱するAge-friendly Cities(エイジフレンドリー・シティーズ)の動きが広がり始めていることが挙げられます。
この動きは「高齢者にやさしい都市」というコンセプトに基づき、定められたガイドラインに従って市民参加型で街づくりを進めるというものです。日本では唯一、秋田市がこの運動に参加しています。
もう1つの理由としては、日本のみならず多くの国で高齢化が進み、これに対応した商品やサービス、店舗づくりやインフラ整備に対する意識が高まっていることも挙げられます。
こうした「高齢者にやさしい」モノ・サービス・インフラづくりの動きは、今後ますます進展する社会の高齢化への対応策として歓迎すべきものです。その一方で「高齢者にやさしい」ことを1つの側面だけに偏りすぎると陥ってしまう落とし穴があります。
ソウルでのコンファレンスでは、そのあたりの話をしようと思っています。
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