シルバー産業新聞 連載「半歩先の団塊・シニアビジネス」第180回
世界中で日本にしかない「メンズ・カーブス」
3月15日、仙台市中心部にある東北大学片平キャンパスに宮城県初の「メンズ・カーブス」がオープンした。メンズ・カーブスとは、女性専用フィットネスで業界トップのカーブスの男性版だ。
かつて私が講演でカーブスのことを話すと必ず尋ねられた質問が「男性版はないのか?」だった。恐らくこれまでに200回以上は尋ねられたと思う。だが、そのたびに「残念ながら、ない」と答えていたものだ。
男性版がなかった最大の理由は経営方針だった。カーブスは、創業者のゲーリー・ヘブンが「中高年女性が継続しやすいスタイル」を追求してできたものなので、そもそも男性向けという発想がなく、許可が出なかったのだ。
ところが、2018年3月に日本のカーブスホールディングスが米国のカーブスインターナショナルホールディングスなどを子会社化して経営権を持ち、出店制約を受けなくなったため、同年11月に長野県茅野市にメンズ・カーブス第一号店を出店した。
メンズ・カーブスは、男女一緒の通常のスポーツジムと異なり、名前の通り「男性専用」だ。全国に約2000店舗あるカーブスはよく知られているが、メンズ・カーブスについては内容を知らない方も多いと思うので、以下にその特長を説明する。
特長1:筋トレ・有酸素運動・ストレッチの全てが30分で完結する
筋トレ・有酸素運動・ストレッチを通常のジムで行うと60分~90分程度かかる。一方、メンズ・カーブスでは30分で済む。これが可能な理由はサーキット型トレーニングのためだ。
一つのマシンで30秒間筋トレを行った後、隣のマシンに移動して違う種類の筋トレを30秒間行い、以降繰り返す。途中心拍数が適切かどうかをチェックして、OKなら継続し、トータル30分で終了する。
日本でカーブスが始まった2005年頃は「30分で脂肪が燃焼するのか?」などと言われたことがあったが、その機能性については大学などの研究機関で学術的に証明されている。
実際にやってみると、単位時間当たりの運動量が多く、運動密度が高いことがよくわかる。この「30分で全てが完結」する点が中高年女性に受けたが、これは男性でも同じだ。仕事の合間、ちょっとした隙間時間にできることが利便性を高めている。
特長2:セミパーソナル・サービスを追加料金なしで受けられる
通常のジムでは個別指導の「パーソナルサービス」は別料金となる。一方、メンズ・カーブスでは、「セミパーソナル・サービス」を追加料金なしで実施する。
これは来店者に必ずサポートする時間を設け、体の状態や目的に合わせて効果的なマシンの使い方などを個別指導するものだ。このおかげで運動が苦手な人や初心者の人、身体に痛みなどがある人などが気軽にアドバイスを受けられるようになっている。
また、女性用カーブスではコーチは全員女性だが、メンズ・カーブスでは男性と女性がコーチとしてサポートする。コーチとのコミュニケーションが多いことで継続の動機が上がることも重要だ。
特長3:自分のペースで無理なくできてコスパもよい
使用する油圧式マシンはリハビリでも使われており、自分のペースで無理なくできる運動だ。
腰痛や膝痛があるために、ジム通いは無理だと思う人も多いが、メンズ・カーブスの運動は筋力と柔軟性を高めるため、やれば結果的に痛みがやわらぐ方が多い。実はこの点は女性用カーブスの利用者で証明済だ。
月額料金は店舗やコースによるが、月に何回通っても定額の6,000円~8,000円で、似た業態の他社サービスよりも低価格となっている。前述の通り、「セミパーソナル・サービス」も含むので、コスパもよいと言えよう。
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