スマートシニアのもう一つの意味

スマートシニア・ビジネスレビュー 2011年1月24日 Vol.147

Ask Grandma Anything

私は今から11年以上前にスマートシニアというコンセプトを提唱しました。

当時のスマートシニアの定義は、「ネットを縦横に活用して情報収集し、 積極的な消費行動をとる先進的なシニア」というものでした。

スマートシニアの増加で、多くの市場が変わったことをこれまで本レビュー、拙著や講演等で何度もお話してきました。

しかし、ネットの進化は、11年前の予想を超えた本人の知恵を「賢く社会に貢献するシニア」という新たなスマートシニア像を生み出しつつあります。

アメリカ・ロスアンジェルス在住の94歳の女性、
バーバラ・クーパーさんによる「Ask Grandma Anything」
(おばあちゃんの人生相談)がその一例です。

これは、ネット上で寄せられるさまざまな相談に
バーバラおばあちゃんが動画で答えるというものです。

興味深いのは、相談が世界中から寄せられること。
これはネットが世界の多くの地域に普及し、
生活インフラになったがゆえに可能となったことです。

それ以上に興味深いのは、
とりわけ若者から多くの相談が寄せられることです。

様子を見ていると、多くの若者が彼女に相談するのは、
単に知識としての助言を求めているだけでないようです。
彼女の言葉や身振りを通じて、彼女の人柄が伝わり、
それに癒されているのが理由のようです。

こうした深いコミュニケーションが可能になったのは、
ブロードバンド、動画、デジタル・ビデオという
過去10年間における道具の進化のせいです。

一方、彼女の知恵を動画に収め、ネットで伝えているのが、
彼女の二人の孫娘だという点も見逃せません。
バーバラおばあちゃんがいくら知恵を持っていても、
彼女らなしに、世界中に伝わることはないからです。

また、喜ばしいのは、彼女らが、
おばあちゃんから頼まれてやっているのではないことです。

自慢のおばあちゃんの知恵をネットで伝えると、
世界中から反応があることが自分たちの発見でもあり、
本人たちのやりがいになっているのがいいのです。

豊かな高齢社会とは、
高齢者だけが豊かになる社会ではありません。

豊かな高齢社会とは、
高齢者と若者という異なる世代が互いに仲良く、協調し、
双方の世代の関係性が豊かになっていく社会なのです。

バーバラおばあちゃんと孫娘の協働作業は、
このことを改めて実感させてくれます。

 

参考情報

スマートシニア・ビジネスレビュー 2010年9月21日 Vol. 144
「スマートシニアと新市場」から11年

朝日新聞 1999年9月15日
論壇 スマートシニアと新市場

あわせて読みたい関連記事


タグ


このページの先頭へ

イメージ画像