スマートシニア・ビジネスレビュー 2004年8月9日 Vol. 56

42nd St先日、ある方のご紹介で
「42nd Street」 というミュージカルを
観る機会がありました。

42nd Streetとは、ニューヨークの通りの名称で、
通称「ブロードウェイ」と呼ばれる
ミュージカルの中心地のこと。

その名の通り、ブロードウェイの
舞台裏の物語を作品にしたものです。

私はこれまでミュージカルを 2度観る機会がありました。
一度は劇団四季のキャッツ。
もう一度は、本場ブロードウェイでのもの。

正直言って、何が面白いのか全くわからず、
「ミュージカルというのはつまらない」
というイメージがありました。

しかし、この42nd Streetは、
そのような偏見を根底から覆すものでした。

2000名収容の客席は、満席。
2時間半の物語終了後も、
立ち上がった多くの観客が舞台に押し寄せ、
幕が下りた後も鳴り止まぬ拍手と熱気が
会場を渦巻いていました。

驚いたのは、入場者の大半が女性だったこと。
それも50代を中心とした中高年女性。
会場は、ほとんど「女性の館」。
中高年女性パワーをここでも感じた次第です。

ニューヨークのブロードウェイで観た時には、
年配女性が目立ちつつも、男性も結構多く、
特に女性が多いという印象はありませんでした。

なぜ、日本では、ミュージカルを観に来る
男性が少ないのでしょうか。

第一は「時間がない」という理由。
これは一番多い理由かもしれません。

ところが、平日は夜7時から開演、
土日は午後に2回の公演をおこない、
これが1ヶ月間続きます。
1ヶ月予定が詰まっている人を除けば、
時間のやりくりは、"その気"になれば、可能でしょう。

要は、"その気"になるかどうか。
第二は「食わず嫌い」という理由。
「ミュージカルなんて女の趣味」と思っている
中高年男性は、意外に多いようです。

こうした偏見を打ち破るには、
「本物中の本物」に触れる以外にないでしょう。
私自身が、今回それを最も感じました。

問題は、こうした「本物中の本物」が、
どの劇団が演ずる、どの作品なのか、
その世界の素人にはわからないことです。

この場合の対処方法は二つ。
一つは、数をこなすこと。
味噌もくそも見聞きすることで、
本物の作品を選別する目利き力をつけることです。
しかし、これには大変な手間とお金がかかります。

そこで、もう一つは、良きガイド役を身近にもつこと。
その道に詳しい人と知り合いになるなどで、
その世界のエッセンスを吸収することです。
業界誌やネット、同好会などが、
そのような人と知り合うきっかけとなるでしょう。

それでも、そういうガイド役を
身近にもてない場合、どうするか。
一つの方法として、多くの女性が話題にしていることに、
積極的にアプローチしてみることです。

文化的なものや身近な話題に対する
「感性のアンテナ」としての女性の嗅覚には、
一聴の価値を感じることが多いからです。

実は、会社組織でも似たようなところがあります。
仕事柄いろいろな事務所を訪問させていただくのですが、
部課長クラスの男性社員との打合せとは別に、
事務職の女性社員とエレベータルームで雑談した方が、
その会社の雰囲気がよくわかることが多いのです。

会社でも家庭でも一番目立たない地味な役回りで
支えることの多い女性だからこそ、
人の気持ちを震わせるミュージカルや演奏会などに
共感しやすいのでしょう。

●参考情報

女性主導市場 - 市場のけん引役を見誤るな