潜在顧客への認知度獲得のための3つのステップ

スマートシニア・ビジネスレビュー 2022年11月19日 Vol.237

シニア向け事業者48社が参加するシルバーパートナーズ

先日、仙台の一般社団法人シルバーパートナーズの特別講演会でお話ししてきました。この団体は名前の通り、シルバー顧客向けにサービス提供をしている事業パートナー48社が寄り集まっている団体です。

代表理事の加藤鉄男さんが便利屋をやっていて、沢山の方から仕事を受けている中で高齢者からの依頼が年々増えてきており、便利屋以外の相談事、例えば施設・相続・住まい・近所とのトラブル等々、加藤さんだけでは解決出来ないことが沢山出てきたことから、8年前にこの団体を設立したそうです。

この話を聞いて、私はかつて拙著「シニアビジネス『多様性市場』で成功する10の鉄則」で紹介したアメリカのミスターハンディマンのことを思い出しました。

訪問サービスは顧客の信頼を獲得すると頻繁に声をかけられる

ハンディマンとは、もともと「雑役夫」の意味。主に一人暮らしのシニアに、通常の専門業者がやらない、ちょっとした大工仕事から部屋の額縁の取付け、雨トイの掃除などの「雑役」をひとまとめにしてサービスします。

ミスターハンディマンのような訪問サービスの強みは、いったん顧客の信頼を獲得すると、頻繁に声をかけられることです。自宅の勝手や顧客の好みなどを知っていることも何度も声をかけられやすい理由です。

この結果、顧客のそばにいる機会が増え、潜在ニーズが明らかになる「最上流地点」にいる機会が増えます。すると、受けた相談に対する助言の延長として、さまざまな商品・サービスを押しつけではなく、「自然に」依頼されやすくなるのです。

シルバーパートナーズの加藤代表理事は、まさにそのポジションを獲得しており、便利屋を中心に、便利屋以外のサービス提供体制を構築しつつある段階です。

潜在顧客への認知度獲得のための3つのステップ

この段階で次に行うべきことは、1)提供サービスのシステム商品化、2)エリア・マーケティングの徹底、3)ブランドづくりです。

1)については、すでにシニア向けの様々な業種の企業が集まっていて、個々のサービスは提供できるようになっています。しかし、異業種48社が連携することでどのような付加価値があるのかがまだ明確になっていないようです

顧客からの相談内容をもとに、いくつか標準的なサービスをパターン化(システム商品化)することで、潜在顧客に対して付加価値を訴求しやすくなるでしょう。

2)については、宮城県という商圏がターゲットですが、宮城県でも仙台市のような100万人を超える大都市とそれ以外の小都市とではターゲット顧客の人数も分布も異なります。

せっかく48社大同団結したのであれば、思い切って互いの顧客情報を持ち寄って、システム商品毎の潜在市場規模を推定することで、効率的な営業活動が可能になるでしょう。

ただし、この時に積極的に情報提供した企業が得をするような約束事を決めることが肝要です。また、連携したことによって今まで開拓できなかった顧客を得るという成功事例を積極的につくることも継続のために重要です。

3)については、異業種48社の集合体と言っても、潜在顧客に対する個々の企業の認知度はそれほど高くないと思われます。

1)にも関連しますが、個々の企業ではなく、48社が連携することによって、これまで対応できなかったシニアの「不の解消」が可能になる、などの新たな価値を訴求するサービス名称、ブランディングが必要と思われます。

シルバーパートナーズと言う名称はサービスの売り手側の言葉なので、組織名とは別にサービスの買い手側の言葉でブランド名を付ける方がわかりやすいでしょう。

今回の話はシルバーパートナーズを例に挙げていますが、シニア顧客の新規獲得のために何が必要かという観点で他の事業者の方にも参考になると思います。