スマートシニア・ビジネスレビュー 2005年7月4日 Vol. 71

curves-japan世界で9000店舗、400万人の女性が利用している
女性専用フィットネス「カーブス」の日本第一号店が本日、ついに東京・戸越公園に登場します。

先週、開店前にいち早く体験する機会がありました。開店前のトライアルということで、一号店は私を含め、多くの男性ビジネスマンが参加。

女性専用フィットネスなのに男性が7割という
奇妙(?)な風景でした。

それはともかく、
実際に体験してみた印象は、
本当に「楽しい」こと。

運動不足を感じる人には、
これが自宅のそばにあるといいな、
と思った人が多かったのではないでしょうか。

カーブスの最大の魅力は、
やせるための「つらくて禁欲的な運動」を
「気軽に続けられる楽しい運動」に変えたこと。

私もこれまで講演等で何度もこう話してきました。
しかし、アメリカで最初に見た時から、
男性である私には、自分自身で体験できませんでした。

今回、実際に体験してみて改めて感じたのは、
この仕組みは、見た目は単純そうに見えますが、
「ありとあらゆること考え尽くして無駄を削ぎ落とした」
極めて完成度の高いものだということです。

たとえば、一回の運動が30分で十分だという特長。
以前、私がセミナーでカーブスの話をした時に、
フィットネスクラブでインストラクターをやっていたという
ある受講生から次のような質問を受けました。

「通常、フィットネスクラブで行う有酸素運動では、
運動を始めてから、体の中の脂肪が燃え始めるのに
20分かかる。30分しか運動しなければ、
やっと体のエンジンがかかり始めたところで
運動をやめることになり、効果がないのではないか」

しかし、筋力トレーニングと有酸素運動とストレッチとを
巧みに組み合わせ、従来のトレーニングで
90分以上かかっていたことを、たった30分で効果的に、
無理なく実現できるようにデザインされているのです。

この実現のために、たとえば、

①30秒毎に筋力トレーニングと
有酸素運動とを交互に行う、
②上半身、下半身の筋力トレーニングは、
それぞれ90秒毎に繰り返される、
③8分間に一度、心拍数を測り、
最も運動効果が高い心拍数を維持する、
④筋力トレーニング機器は、押す時も引く時も
筋肉を使うようになっており、
運動速度に応じて抵抗が変わる、

などの工夫が随所に盛り込まれています。

別の言い方をすれば、こうした機能的特長が、
それぞれ個別バラバラに存在するのではなく、
「全体包括的に統合」されていることです。

しかし、何よりも素晴らしいのは、利用者が、
こうした理論を理屈として聞かされることなく、
素直に楽しめるということです。

アップテンポの音楽に乗りながら、
若いカーブススタッフの拍手と共に行う運動は、
子供の頃に輪になって遊んだ
「イス取りゲーム」のような楽しさを思い起こしました。

月会費5,900円という価格は、
ほぼアメリカの大都市での価格と同じ。
従来型のフィットネスクラブも経営努力のおかげで
以前に比べ価格はかなり安くなってきました。
しかし、忙しいOLや主婦の立場では、
価格が安いことと同時に
「時間が短く、続けられること」が大きな魅力のはず。

実際にやってみると、8分間の運動時間でも、
意外に運動量があり、
「え、これで、まだ8分なの?」という感覚を持ちました。
(こう書くと、日頃の運動不足がばれてしまいますね)

願わくは、男性も利用できる同様のものが、
そう遠くないうちに出現して欲しい。
私同様に参加した男性ビジネスマンの皆さんも、
似たような感覚を持たれたのではないでしょうか。
(アメリカにはCUTSというカーブスの男性版があります)

ところで、少し前に次の質問を受けたことがありました。

「カーブスで使用している機器は、
テレビ通販で手に入る自宅用運動機器に似ている。
ああいう機器は、ほとんど自宅では使われていない。
それらを持っている人同士が持ち寄ってやったら
同じようなになるのではないか」

結論としては、この意見のやり方では、
前述のとおり、カーブスの仕組みとは
「似て非なるもの」になることは今や明らかです。

世間にはこのようにカーブスの仕組みを真似て、
自社製品のみをサークル状に並べているだけの
擬似的サービスがあるようです。

しかし、カーブスにはこうした表面的な模倣では、
簡単には到達できない独自のノウハウが
凝縮されていることがよくわかります。

「成功事例は常に個性的である」

拙著「シニアビジネス」の冒頭に引用した言葉ですが、
カーブスがその最も象徴的な事例であることを
改めて感じた次第です。

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