大家族に回帰するアメリカ

スマートシニア・ビジネスレビュー 2011830Vol.161

multi-generational-housing先週滞在先のアメリカで、興味深い話を聞いた。

 

近年の調査に基づくと、今後10年間に

アメリカの世帯の3分の1が「多世代世帯」になるというのだ。

 

多世代世帯とは、親・子、親・子・孫、親・孫などの複数世代が一つ屋根の家に一緒に住む形態のことをいう。

 

核家族が大部分で親・子がそれぞれ別に住む習慣が強いアメリカには

日本で一般的な二世代住宅は極めて少ないイメージが強い。

 

ところが、二世代・三世代の住宅は地方都市には結構存在する。

先週滞在したクリーブランドで見た住宅地は

単一世代住宅と二世代住宅とが混在しているところだった。

two-generational family-housingアメリカの二世代住宅は、日本同様、一階に親世代が住み、二階に子供世代が住む形態が一般的だ。

 

入口が二つあり、両方並んでいるものもあれば、別々に設置されているものもある。これも日本で同様に見られるものだ。

↑日本の二世帯住宅の例


一方、日本との違いは、三階が屋根裏になっていて

世代共通で利用する空間になっていることや、

地下室があり、冷暖房機器や洗濯機が置かれていたり、

倉庫になっていたりすることだ。

 

また、面積も日本よりも広めだ。

日本の首都圏の一軒家は30坪程度が多いが、

クリーブランドで見たものは60坪程度あった。

 

これに駐車場と庭を入れて80坪程度と

日本の首都圏のものに比べるとかなり広い。

 

中古の場合、この程度の住宅だと土地込みで9万ドル。

円高の今なら1ドル80円としても、何と720万円だ。

 

中古の場合は改修費用が加算されるのでもっと高くなるが、

それを差し引いても安いだろう。

 

三世代世帯では、このような二世代住宅に

三世代で住むことを想定しているようだ。

その場合、世代当たりのコストはさらに安くなる。

 

アメリカは大都市を除けば、一般に土地は広く、価格も安い。

独立志向が強く、世代ごとに別々に住む習慣のあるアメリカ人が、

なぜ、今後10年で多世代世帯に向かうのか。

 

それは経済的理由である。

都市部に比べて相対的に安い地方でも、

若い世代が住宅を買えなくなるというのだ。

 

その理由は仕事が減っているためだ。

農業人口の減少、産業の空洞化、景気の低迷で

地方都市では若者の就業機会が減っているのだ。

 

この話はまさに日本でも起こっていることで他人事に聞こえない。

こう言う話を聞くとアメリカの将来はお先真っ暗のように思える。

 

だが、多世代世帯が増えると言うことは、

ばらばらになっていた核家族が、

かつての大家族に回帰することを意味する。

 

日本ほど急速ではないが、アメリカでも高齢化は進んでいる。

高齢世代の介護の必要性は当然高まっていく。

しかし、大家族なら家族同士が支え合いやすくなる。

 

大家族への回帰によって家族どうしの絆はむしろ強まるだろう。

また、家族が多い分、一人あたりの介護負担は少なくなる。

ポジティブに見れば良い面も多いといえる。

 

明治維新以降、ずっと日本は家族形態を含むあらゆる面で

アメリカの後追いをしてきた。

 

この先もアメリカの後追いを続けるのか、

それとも別の道を歩むのか。

その選択は私達に委ねられている。

 

どうせなら、先人の良いとこ取りをして、

より良い道を歩みたいものだ。

 

 

●参考情報

 

「ゆるやかな大家族」が増えていく

 

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