毎日新聞 2013年8月3日 連載 村田裕之のスマート・エイジング 第5回

毎日新聞130803現役サラリーマン時代には毎日出かける場所があったのが、退職後は何もやることがなく、自宅にこもっていると何かにつけ後ろ向きになりがちです。これを防ぐには、やはり退職後も何らかの仕事をして年金以外の収入を得るのが一番です。

 

「それが理想だが高齢になると現実には難しい」と思うでしょう。しかし、例えば、徳島県上勝町では80代の女性が、料理を彩る「つまもの」を生産・販売する「葉っぱビジネス」で年収500万円以上稼いでいます。

 

東京千代田区の派遣会社「高齢社」では、60歳以上の約500名が登録し、さまざまな業種にスタッフとして派遣されています。

 

旅行会社「クラブツーリズム」(同新宿区)では、「エコースタッフ」という年配の顧客約8000が毎月、会報誌を一人250部近所に配り、3000円程度収入を得ています。金額は少ないですが、旅の話で配布先と交流でき、楽しいと評判です。

ほかにも、各自治体が運営するシルバー人材センターに登録して、仕事を見つける方法もあります。経験豊富で体力に自信のある団塊世代の退職者は、前職時代の経験を生かして起業してもいいでしょう。

 

厚生労働省の調査で、高齢者の有業率が高いほど、一人当たりの老人医療費が少なくなることが分かっています。つまり、仕事を続けて現役でいる方が、高齢になっても病気になりにくいことを示しています。

 

私が知る限り、退職後も適度に仕事を続けている人の方が、何もしていない人よりも圧倒的に健康で元気な例が多い経済的な余裕と生活のリズム感を得て、いきいきと暮らすことができるからです。

 

皆さんには退職後も何らかの仕事をして、年金以外の収入を得る生活を強くお勧めします。

 

 

スマート・エイジングという生き方