月刊レジャー産業資料 2014年8月号
2050年には高齢化率が約40%にまで達するという、超高齢社会の到来予測が提示されるなか、シニアビジネスがますます注目を集めている。本書は、同分野のパイオニアである著者が、さまざまなデータや事例を紹介しながら、成功の秘訣を示していく。
本書はまず、シニアビジネスに関連する「俗説」について、データに基づいた「真実」を提示することからはじめている。たとえば、「シニア層は、他の年齢層よりお金持ちだ」と考えられがちだ。
しかし、実際に数値を確認すると、世帯主が退職し、主な収入が年金になっている60歳代・70歳代はほかの世代と比較しても所得はけっして多くない。また、不安を抱えがちなシニア層は倹約志向が強く、無駄なものへの出費を抑える傾向にあることも明らかになる。
このように、シニア層についての正しい認識を得ることが、ビジネスチャンスを掴むための第一歩となる。
また、シニアを十把一絡げにしてしまうことにも注意が必要だ。ネットを活用するシニアもいれば、そういったものに疎いシニアも当然いる。性別や年齢、おかれているライフステージなどでもニーズは異なる。
だからこそ、自前のコールセンターなどを設けて、直接的なコミュニケーションの機会をもつことが多様なニーズ把握のためには重要だ。特に、不安・不満・不便といった顧客の「不」に着目することが、ビジネスの芽を見出すことにつながる。
著者は、業績向上に伴う雇用機会の増加、そしてシニア層と向き合うことこそが若者の人間的な成長を促すという点にふれ、「シニアビジネスはシニアのためだけでなく、若者のためにもなる」と述べている。日本社会の明るい将来のためにも、シニアビジネスは重要な役割を担うと考えさせられる。
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