情報化推進国民会議 情報化レビュー第242

表紙先進諸国等では高齢化が進行している。中でも我が国は、2005年に世界で初めて超高齢社会(65歳以上が総人口の20%以上)に突入して以来、現在では総人口の26%強が65歳以上の高齢者となっている。

 

そうした傾向を踏まえて、最近、高齢者やシニアを対象にした商品や企画がスーパーマーケット、ファミリーレストラン、食品、電化製品、旅行や携帯電話などの分野で目にする機会が増えてきた。

 

しかし、大きくヒットしたものもあれば、それほど注目されずに終わってしまうものもあり、その差、違いはどこにあるのだろうか、と考えるとき、本書はその疑問に答えてくれる一助となろう。

 

著者はシニアビジネス分野のパイオニアであり、多くの民間企業の新事業開発に参画し、シニア向け事業をプロデュースしてきたことから、具体的な事例をあげながら、何が良くて、どこが間違っているのか等について、わかりやすく教えてくれる。

 

本書は、過去15年の間に多くの企業担当者から寄せられた質問や相談、現場での苦い体験をもとに、シニアビジネスの勘所を体系的に「教科書」と銘打ってまとめているが、シニア市場には、まだ新しいビジネスチャンスがあり、そのヒントを見つけたいと思っている人や自ら何かビジネスを始めたい、起業したいと思っているシニアの方々にとっても大いに参考になろう。

 

著者曰く、シニアビジネスの要諦はシニアの「不安」、「不満」、「不便」を解消して付加価値をつけること。3つの「不」や不自由さからの解消につながる製品開発や消費が増えれば、企業業績も向上し、若者の雇用も増えていくと。

 

また、年功序列・終身雇用が崩れた今、かつてのように社内で上司が部下を厳しく鍛えてくれる機会は減ったが、シニアビジネスの現場では、若者を鍛えてくれる上司のような人=シニアの顧客がいる。目の肥えた、要求の厳しいシニア顧客に鍛えられれば、若者はビジネスパーソンとして成長できる。シニアビジネスはシニアのためだけでなく、若者のためにもなると。

 

シニアビジネスの可能性は大きく、その奥の深さを感じることができる1冊といえよう。

 

 

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