スマートシニア・ビジネスレビュー 2014年11月18日 Vol.208
このブログで何度かご紹介してきた映画「僕がジョンと呼ばれるまで」(原題:Do You Know What My Name Is? Bring back the light)が、何とアメリカの「アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門」にエントリーされました。
日本のドキュメンタリー映画がエントリーされたのは初めてとのことです。
エントリーされた134作品のうち5作品がノミネート作品として来年2月22日にロス・アンジェルスで開催されるアカデミー賞授賞式に招待され、最終的に1作品が受賞するのだそうです。
この映画はこれまでに、アメリカンドキュメンタリー映画祭観客賞、ロサンゼルス・ムービー・アワード・奨励賞、ベルリン国際フィルム・アワード・特別選考賞を受賞したほか、クリーブランド国際映画祭・2部門ノミネート上映、ベルギー国際健康映画祭・高齢者福祉部門ノミネート上映という実績を上げ、文部科学省選定作品にも選ばれています。
日本発の対認知症療法のドキュメンタリー映画、アメリカで最高賞受賞
アカデミー賞の受賞は確率的に敷居が高そうですが、確率よりも映画の内容にどれだけインパクトがあるのかが勝負なので、ひょっとして?が起こるかも。そんな夢を抱かせてくれることになりました。
これまでお伝えしてきた通り、この映画は、私が在籍する東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの全面的支援で実現した対認知症療法「学習療法」のアメリカでの導入の物語です。
アメリカの介護施設に住むお年寄りが、「学習療法」によって症状が改善し、失いかけた家族との絆を取り戻す様子を描いたものです。
サブタイトルにある“Bring back the light”とは、「光を取り戻す」という意味。このサブタイトルを聞くと、当初アメリカでの導入活動で悪戦苦闘した頃のことを思い出します。
2010年の夏にワシントン郊外のメリーランド州ボルティモアにある高齢者コミュニティに、私と、くもん学習療法センターのスタッフ、道海永寿会永寿園の山崎園長が訪問し、全米初の説明会を開催しました。
すると、どうでしょう。アメリカ人の入居者とスタッフが皆驚きと称賛の声を上げるではありませんか。
「これ(学習療法で認知症が改善すること)は本当か? もし、本当なら、これは天からの光だ」と入居者から熱狂的に言われました。
入居者とスタッフの予想外の大きな反響に驚き、熱狂する入居者を見て私たちも熱くなりました。入居者もスタッフも「希望」を求めていたのです。
(川島隆太・村田裕之共著「スマート・エイジングという生き方」より)
その後紆余曲折があり、結局、この高齢者コミュニティに学習療法を導入することはありませんでした。しかし、この時に「これは天からの光だ」という言葉を入居者から私たちが耳にしなければ、その後のアメリカでの学習療法導入はなかったことでしょう。
映画は今年12 月 12 日(金)~18 日(木)の間、ニューヨークとロサンゼルスで同時に劇場公開されることが決定しました。劇場は次の通りです。
【ニューヨーク】
Quad Cinemas, NY
34 W 13th St. New York, NY 10011
Phone number:1-(212) 255-2243
http://www.quadcinema.com/
【ロサンゼルス】
Laemmle’s Town Center 5, CA
17200 Ventura Blvd, Encino, CA 91316
Phone number:1-(818) 981-9811
http://www.laemmle.com/theaters/7
英語版の予告編
アメリカにお知り合いがいらっしゃる方は、ぜひ、この情報とともに、たとえ認知症になっても、希望の光を取り戻せることを、映画で観てほしい、とお伝えいただけると嬉しいです。
「僕がジョンと呼ばれるまで」公式サイト