ネット利用率の変化から見えるもの

スマートシニア・ビジネスレビュー 2006年7月31日 Vol. 90

netusers年齢層別のネット利用率の変化を眺めると
いろいろと興味深いことが見えてきます。

総務省「通信動向調査」によると、年齢層別の利用率は、2005年末現在で大きい順に次のとおりとなります。

①20-29歳、95%、②13-19歳、93.9%、③30-39歳、92.8%、
④40-49歳、90.6%、⑤50-59歳、75.3%、⑥60-64歳、55.2、⑦65歳以上、22.8%

若年層の利用率が高いのは4年間で変わっていません。
ここで注目したいのは、次の2点です。

(1)60代前半でも55%を超えていること
(2)団塊世代を含む50代は75%を超えていること

(1)に関しては、一般に利用率が50%を超えたものは
「普及した」といわれるので、60代前半までの年齢層では
「すでにネット利用が普及した」と言えます。

私が1999年末に、東京、大阪、名古屋の50歳以上の
ネット利用率を調べたとき、3%だったことを思うと、
この6年間でいかに状況が激変したかがわかります。

(2)に関しては、団塊世代を含む50代では、
ネット利用が普及の段階を超えて「空気のように」
あって当たり前になっていることがわかります。

一方、年齢層別に4年間の増加率の大きさで見ると、
次の順番になります。

①65歳以上の296%
②60-64歳の288%
③50-59歳の205%

参考までに、20-29歳では139%、
13-19歳では129%で、
近年はほとんど飽和状態となっています。

つまり、(3)ネット利用率の年齢層別の増加率では、
団塊世代を含む50歳以上の年齢層が大きいのです。

これらの事実が、これからの団塊・シニア市場に
いったい何をもたらすのでしょうか?

第一に、顧客の「スマート化」が一段と進展することです。

顧客の「スマート化」とは、顧客が情報武装して
賢い消費者になることです。私は7年前に、
これからは「スマートシニア」が増えていくと述べました。

スマートシニアとはネットを縦横に活用して情報収集し、
積極的な消費行動をとる賢い年長者のことです。
7年前の予感が、いよいよ現実化してきたのです。

たとえば、有料老人ホームという市場で
そのことが如実に現れています。

以前は新聞の全面広告で無料説明会の告知をすると
定員の2倍以上の人が集まり、説明会で著名人が講演し、
イメージビデオを映写すると、その場で半数以上が
入居申込書にサインしたものでした。

ところが、現在では無料説明会に参加するものの、
その場ですぐサインすることは、まずありません。
買い手にとって商品の情報が増えたことで、
買い手の目が肥え、以前のように青田買いをせず、
じっくりと選択するようになったからです。

第二に、顧客の情報源がネット中心になることで、
この年齢層向けの広告・告知における4媒体
(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の地位が
一段と低下することが予想されます。

一昔前にはテレビCMや新聞広告を出せば、
何でも売れた時代がありました。
ところが、現在は商品の性質や告知の仕方によって
広告の効き方の“ばらつき”が大きくなっています。

ネット登場以前の時代は、その商品の期待感を
4媒体で巧みに煽れば、ある程度多くの消費者が、
比較的容易に商品を買ってくれました。

しかし、ネットでの情報提供が緻密になってくるにつれ、
消費者は、ネット以外の媒体からの情報でも、
ネットでよく調べ、吟味し、確認してから、
申し込んだり、購入手続きをするようになりました。

これは、消費者がスマート化するに伴い、
消費者が広告・告知に対して重視するものが、
「商品の期待感」から「商品の現実感」に
移行することを意味します

つまり、いくら広告で格好良いイメージを煽っても、
その商品の実態に、イメージ通りの質が伴わなければ、
遅かれ早かれ、顧客に見抜かれるということです。

だから、これからの広告・告知においては、
その商品の”リアリティ“をいかに伝えるかが
ますます重要となっていくでしょう。

そして、このことは4媒体とネット以外の
すべての媒体でも同じことが言えると思います。

 

●関連情報

買い手市場 - 情報武装した「賢い消費者」が増えていく

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