要介護原因男女別

スマートシニア・ビジネスレビュー 2022年11月7日 Vol.236

男女で異なる要介護になった原因の構成割合

国民生活基礎調査(2019年)を見ると、要介護になった原因の構成割合は、実は男女で異なることがわかります。(図表1)

男性は脳血管疾患(脳卒中)が非常に多く、次いで認知症が多い。これに対して女性は認知症と骨折・転倒、関節疾患が非常に多いのが特徴です。

認知症の約3割は脳卒中が原因なので、これを考慮すると女性も脳卒中はそれなりの割合になります。

先日の南三陸町での講演会でこれらをお話しした際、参加者のほとんどが年配の女性だったこともあり、会場では大きくうなずく人が沢山いました。

両親の介護経験がある方だとこうしたことを感覚的に知っているのですが、そうでないと「え~そうだったの???」と驚かれます。

50歳代以降の通院者率は、男女とも高血圧症が第一位

傷病別通院者率の順位 男性

一方、同調査によれば、通院者率(人口千人に対する通院者数)は、男性は40歳代以降、女性は50歳代以降で高血圧症が第一位になっています。(図表2)

50歳代から70歳代では、男性の第二位が糖尿病、第三位が脂質異常症(高コレステロール血症等)、女性の第二位が眼の病気・脂質異常症・歯の病気、第三位が脂質異常症・歯の病気・腰痛症となっています。

高血圧症、糖尿病、脂質異常症は、いわゆる生活習慣病と呼ばれ、動脈硬化の促進要因です。

動脈硬化が進むことで脳卒中を発症することから、50歳代から生活習慣病で通院している人は要介護予備軍と言えます。

男性は40歳代から、女性は50歳代から要介護への道が始まっているのです。

超々高齢社会・少子化が進む日本は、このまま行くと近い将来、要介護人口が増えても介護の担い手が不足し、危機的状況に陥る可能性が大です。この点については10月9日のMED2022でお話ししました。

したがって、要介護予備軍の「生活習慣をいかに改善するか」が、近未来の要介護人口の低減のカギなのです。