「第二の人生」は男性中心の概念:予想と実際とのギャップを埋める部分に商機あり

2015年4月9日 ゆこゆこシニア調査レポート

yukoyukoシニア向け宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこが50歳以上の2,338人を対象に実施した「第二の人生」に関する調査に対してコメントを寄稿しました。

調査項目は「第二の人生の始まる時期について」「第二の人生で必要なお金」「第二の人生の理想と現実について」「第二の人生における準備と満足度の相関」などです。大変興味深い内容ですので、レポート全文をお読みいただくことをお勧めします。

ゆこゆこシニア調査レポート「第二の人生に関する調査」全文

参考までに、調査結果に対する私のコメントを下記します。

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「第二の人生」は男性中心の概念:予想と実際とのギャップを埋める部分に商機あり

まず興味深いのは、第二の人生の捉え方や消費行動に男女の違いが見られることだ。

「どのような時に『第二の人生』が始まると思いますか」という設問に対して「仕事を定年退職したとき」と答えた割合は男性82.8%に対して女性51.4%で、圧倒的に男性の割合が大きい

また、「配偶者が定年退職したとき」と答えた割合は男性5.2%に対して女性33.5%となっている。これより「第二の人生」という概念は、主たる家計を支える男性中心のものであることがよくわかる。

一方、「子供が結婚したとき」と答えた割合は男性11.3%、女性24.8%、「子供が社会人になったとき」と答えた割合は男性11.2%、女性24.0%で、いずれも女性が男性の2倍以上の割合となっている。

これらより、男性や仕事に就いている女性にとっての第二の人生は「仕事からの手離れ」で始まるのに対して、主婦にとっての第二の人生は「子供からの手離れ」で始まることがわかる。

したがって、第二の人生をきっかけとする商品・サービスをマーケティングする場合、仕事中心生活を送っている人に対しては、その人の誕生日前後が重要なターゲット期間となる。

一方、主婦に対しては、その人の子供のライフステージの変化(就職、結婚など)のタイミングが重要なターゲットとなる。何らかの方法でこれらの情報を入手することが肝要だ。

次に興味深いのは、第二の人生が「まだ始まっていない人」と「すでに始まっている人」とで生活意識に大きなギャップが見られることだ。

たとえば、「第二の人生」で増やしたい(あるいは増えた)時間を両者に尋ねた場合、「国内旅行」ではそれぞれ79.2%、67.4%、「海外旅行」ではそれぞれ32.7%、18.6%となっている。退職前には「退職したら思い切り旅行に行こう」と考えていても、実際にはそうならない人がかなりの割合存在することがわかる。

一方、「家の手入れ」ではそれぞれ14.1%、23.9%、「何もしない」ではそれぞれ12.2%、20.1%、「テレビを見る」ではそれぞれ4.3%、33.4%となっている。退職前の予想に反し、退職後に家にいる時間が増える割合が多いことがわかる。

特に「テレビを見る」時間が増えているのは、家にいる場合の最も手軽な時間つぶしになるためだ。しかし、長時間のテレビ視聴は、大脳の前頭前野を不活性化する時間が長くなり、認知症のリスクが上がるため、本来望ましくない。

また、「第二の人生で過ごす時間を増やしたい相手」を尋ねた場合、「友人・知人」の割合が第二の人生が「まだ始まっていない女性」と「すでに始まっている人」とでは、それぞれ53.9%、32.5%と特に女性で大きな差が見られる。

この理由として、退職後には、退職前に予想しなかった病気や身体の衰えで、外出機会が減っているものと考えられる。長年続けていた仕事をやめると生活のリズムがなくなり、気持ちの張りが薄れ、健康を損ないやすくなるためだ。

これらを考慮すると、第二の人生商品・サービス開発においては、従来の旅行商品などに加えて、在宅でも長時間テレビを視聴する以外の、有意義な時間の過ごし方が可能な「コト消費型」商品・サービスの開発余地が大きいと考えられる。

また、退職前に想定していたことを退職後に確実に実行するために、体力の維持向上が必要となる。そのための有酸素運動や筋力トレーニングを退職前から習慣づけることが重要であり、そうした運動プログラムの利用を促進するインセンティブ制度の導入・告知が有効となろう。

ゆこゆこシニア調査レポート「第二の人生に関する調査」全文

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